『大腸がんの早期発見』
2014年06月26日
杉村クリニック院長
杉村 一仁 氏
■医師データ
杉村一仁。新潟大学医学部卒業。新潟大学医歯学総合病院助手、同病院講師、新潟市民病院消化器科副部長などを経て平成26年5月に杉村クリニックを開業。
大腸がんが増えているという。大腸がんは、がんによる死亡原因で男性3位、女性は1位だという。根治のカギとなるのが早期発見ということになるのだが、今回は大腸がんの早期発見を取り上げる。解説は杉村クリニックの杉村一仁院長にお願いした。
「大腸がんは、みなさんが思っている以上に罹患されている方が多い病気です。死亡原因として注目されてきており、大きな問題になっております。
大腸がんの原因として大きなウェートを占めるのが、良性の大腸ポリープの中に小さながんが発生し、それがだんだん大きくなるというものです。ポリープというのは腸の中に飛び出しているものです。がんであるか良性であるかというのは関係なくて、腸の中で飛び出しているもはすべてポリープです。それがだんだん大きくなってくると、良性のものの中に小さながんができて、それがだんだん大きくなって薄い筋肉層を超えて血管やリンパ管に届いてしまうと、そこから他の臓器へ飛んでしまいます。早いうちであれば、がんが見つかったとしても、そこで取ってしまえば治ります。この、ポリープからポリープの中に小さながんができる期間がわりと長いんです。ですから、その段階で見つけて取ってあげると、非常に治療効果も高いです。どうやって取るのかというと、大腸内視鏡でポリープを見つけた段階でスネアという金属のワイヤーで絞って、熱で焼切ります。取った場所はクリップで止血します。。これは外来治療でできます。進行がんになってしまうと手術しかなくなり、転移している可能性もぬぐいきれなくなるので、内視鏡による治療が可能な段階で見つけることが重要です
では、どうやって早期に見つけるかです。おなかが痛いとか出血があったなど症状が出てから検査を受けて、それががんによるものだった場合、内視鏡治療が可能な早期がんの確率は19%ほどです。それ以外は治癒が難しいということになります。
反対に、検診で見つかる大腸がんのうち65%は早期がんといわれており、検診というのが早期がん発見のカギになってきます。検診というのはこの場合、便潜血検査になります。症状はないけれども、職場検診や市民検診、がん検診などで便潜血検査を受け、そこで陽性と判定された場合に内視鏡検査に進むという流れになります。もちろん、本人たっての希望により、最初から内視鏡検査を受けられる方もいらっしゃいます。
この検診による死亡率の低減効果というものをお話しします。3年以内くらいで死亡がどのくらい減るのかというと、便潜血検査で1/3くらいになります。全大腸内視鏡検査を受ければ1/5まで減ります。ただ、内視鏡はごく稀に腸に穴をあけてしまうなどの偶発症があるので検診には用いられません。…続きは本誌にて