『うつ病』
2014年05月26日
奈良 康 氏
■医師データ
奈良康(ならやすし)。新潟大学医学部卒。新潟大学医学部精神医学教室入局。川室記念病院、佐潟荘などを経て平成26年4月に奈良心療クリニックを開院。
うつ病が増えているという。重症化すると生活や仕事などに著しく支障を来し、最悪、自傷行為なども誘発しかねない。今回はうつ病について取り上げる。解説はこの4月に新潟市で開院した奈良診療クリニックの奈良康院長にお願いした。
「うつ病は気分が落ち込む、何をやっても楽しくない、疲れやすくなる、気力がわかない、罪悪感にさいなまれるなどの症状がある精神疾患です。肩こりや便秘、下痢、食欲不振などの身体症状を伴うこともあります。
放置して悪化すると、『いっそ死んでしまった方がいい』といった思考に陥り、自殺に至るケースもあります。その意味では、命に関わる病気ともいえます。
初期の段階では自覚症状がほとんどなく、いつの間にか悪化しているというケースも多いです。
うつ病になる原因はまだ解明されていません。まじめな人や責任感の強い人がなりやすいとも言われていますが、そうでない人でもなります。誰でも発症する可能性がある病気なんです。
治療は薬物療法と認知行動療法を併用することが基本です。
薬物療法ですが、主に抗うつ薬と抗不安薬を使います。どちらも数種類の薬剤がありますが、患者さんによってどれが効果があるのかはわからないので、最適な薬剤とその用量を医師が判断していくことになります。
認知行動療法ですが、これは悪い方向に考えてしまう思考の方向性を変える治療です。カウンセリングにも通じますが、例えば、第一志望の大学に受からなかった、第一志望の会社の就職試験に落ちた、などとなったときに、自分は必要とされていないダメ人間なんだという思考に陥る人がいます。こういったケースで、第一志望の大学に在籍して成績がビリより、第二志望の大学でトップグループにいた方がいいとか、第一志望の会社が実はブラック企業で、第二志望の会社の方が社員を大切にする会社かもしれない、などというようにお話しして、思考の方向性を良い方向に変えていきます。…続きは本誌にて