『パニック障害』
2014年04月24日
新潟メンタルクリニック院長
熊谷 敬一 氏
■医師データ
新潟大学医学部卒。1995年から新潟市民病院に10年間勤務、専任精神科医として緩和ケアチームに所属。2005年に新潟メンタルクリニックを開業。日本精神神経学会精神科専門医、日本総合病院精神医学会専門医。
悪化すると外出するのも困難になるパニック障害。それだけに早期からの治療が望ましい。今回はこの精神疾患を取り上げる。解説は新潟メンタルクリニックの熊谷敬一院長にお願いした。
「パニック障害とは、パニック発作と呼ばれる症状が何の前触れもなく現れる精神疾患の一つです。精神的不安に身体症状を伴うのが特徴です。主な症状に動悸や息苦しさ、発汗、ふるえ、窒息感、胸の痛みなどがあります。
これらの症状が突然現れ、10分くらいでピークに至ります。その後20分から30分くらいで治まります。
発作の症状が強烈なため救急車を呼ぶ人も多いのですが、病院に着くころには症状も治まり、検査をしても特に異常なしということになります。
そこで放っておくと症状は発展していきます。まず、広場恐怖といって、人がたくさんいるところに行くのが不安になってきます。その後、状況準備性発作という、人込みで発作が起きやすくなる状態になります。さらに発展すると状況依存性発作という、満員電車などでは必ず発作が起きるような状態になります。このように重症化すると一歩も外に出られなくなるなど、著しい行動制限を受けます。
この病気の診断には専門医による問診が重要になります。発作が非常に分かりやすいので、症状をよく聞いていけば比較的診断はしやすいといえます。
治療ですが、大きな柱が2本あります。
まずは薬物療法です。抗うつ薬を中心に使います。うつ病とは違う病気ですが、抗うつ薬には、神経の細胞と細胞との間で情報のやり取りをするときに働く神経伝達物質を自然な状態に切り替えるという作用があります。この作用はうつ病とパニック障害、両方に効果があるため、パニック障害にも抗うつ薬が使われることになります。抗うつ薬にも数種類ありますから、患者さんによって最適な薬剤を、適切な量で処方することになります。専門医が投薬管理をきちんと行えば、病気をコントロールすることはそんなに難しくありません。…続きは本誌にて