『過活動膀胱』
2014年01月29日
かない泌尿器科クリニック院長
金井 利雄 氏
■医師データ
秋田大学医学部卒業後、新潟大学医学部泌尿器科入局。新潟労災病院、県立中央病院、燕労災病院泌尿器科部長を経て2010年8月に開業。日本泌尿器科学会専門医。
頻尿や尿失禁などの分野で、過活動膀胱という新しい診断名がつけられた。日本では約800万人が罹患しているといわれているが、そのうち、実際に治療を受けているのは10%ほどとか。今回はこの病気について取り上げる。解説は、かない泌尿器科クリニックの金井利雄院長にお願いした。
「過活動膀胱(OAB)は急に抑えられない強い尿意に襲われ、我慢することが困難になる病気です。高齢者に多く、70歳を超えると2割以上の方が罹患するといわれています。
通常は、膀胱に尿が十分たまると尿意を覚えるものですが、その際、排尿の意志を示すと脳が膀胱を収縮させる命令を下し、排尿します。すなわち、自分の意志で排尿することになります。
しかしOABでは、膀胱にちょっと尿がたまっただけで、自分の意志とは無関係に、膀胱が勝手に収縮を始めてしまいます。
そのため突然に我慢できないほどの強い尿意を覚え、尿が漏れそうになったり(尿意切迫感)、実際に漏れてしまったり(切迫性尿失禁)するのです。
脳血管障害や認知症などの神経障害、前立腺肥大症、加齢、骨盤の筋肉が弱ってくること等がOABの原因と考えられていますが、原因がわからないものもあります。
OABにかかってしまったために、好きだったバス旅行に行けなくなってしまった方がいたり、夜中に何度も起きるようになってしまったりなど、QOL(生活の質)を著しく下げてしまう厄介な病気と言えます。…続きは本誌にて