学長選に連動する 新潟大学不正契約問題に横たわる深淵
2013年09月26日
新潟大学が中堅ゼネコン・安藤建設(現安藤ハザマ)に、約19億円の支払い請求で提訴されている事件については前号でも紹介した。この事件に横たわる闇“なぜ合意書に学長印は押されたのか”は、果たして解明されるのだろうか。ここまでの裁判資料を徹底検証した。
わかりにくい事件の全貌
安藤建設が国立大学法人新潟大学に対して、約19億円の支払いを求め、東京地裁で訴訟を起こしている問題。この事件に関しては当時の新聞記事に目を通しても、その本質がほとんど見えてこないのが実情だ。
おおまかな流れを時系列に沿って紹介する。以下は、原告の訴状の内容に基づいたあらましである。
2006年頃、新潟大学では、将来的な放射線がん治療設備の導入が検討され始める。その〝本線〟は陽子線治療施設だった。
2007年には、下条文武大学病院長(当時、現学長)、笹井啓資医学部教授(放射線科)、大矢進理学部教授と事務職員らが米ロマリンダ大学を視察訪問している。同大学は世界初の陽子線照射治療施設(ジェームズMスレーター医学博士陽子線治療研究センター)を有し、この分野の世界的権威でもある。同施設長でもあるジェームズMスレーター博士の息子が、後に新潟大学が〝導入予定だった〟とされる陽子線治療設備のメーカー、オプティバス社を経営しており、同社とロマリンダ大学「研究センター」は密接な関係にあると言ってよい。
同年12月には大学運営会議での検討に入る予定が決定されたとなっている(被告側はこの旨を否定している)。
2008年に病院長だった下条氏が学長に就任すると、陽子線治療施設導入のプロジェクトはさらに推進され、当時副学長兼学長室長だった永山庸男教授がプロジェクトの推進担当者に任命された。…続きは本誌にて