『腰部脊柱管狭窄症』
2013年08月26日
医療法人 慈有會
はすいけ整形外科院長
蓮池 尚文 氏
■医師データ
山形大学医学部卒。山形大学医学部付属病院整形外科入局。北里大学、酒田病院、三友堂病院、燕労災病院、山形大学付属病院などを経て平成20年に開業。
キャスターでタレントの、みのもんたさんが手術を受けたことで広く知られるようになった腰部脊柱管狭窄症。今回は、重症化すると歩行障害も起こすようになる、この病気を取り上げる。解説は、はすいけ整形外科の蓮池尚文院長にお願いした。
「腰部脊柱管狭窄症とは、腰椎の中の神経や血管の通り道である腰部脊柱管が加齢などの要因で狭くなることにより、神経や血管が圧迫されて様々な障害が起こる病気です。
代表的な症状として間欠性跛行が挙げられます。これは、しばらく歩くと腰から太もも、ふくらはぎにかけて、しびれや痛みなどが出てきて歩けなくなりますが、少し休むと和らぎ、また歩けるようになるという症状です。他にも、おしっこが出づらくなったり、大便の切れが悪くなったりするなどの症状があります。
症状を訴えて来られる患者さんには、まず診察と問診を行います。そこで腰部脊柱管狭窄症が強く疑われた場合には、レントゲンで骨のかたちを評価して最終的に診断します。また、場合によってはMRI撮影も行います。
治療ですが、最初は保存療法を選択します。具体的には、血管を広げて血のめぐりを良くする薬を内服する治療です。これにより症状が和らぐなどの効果が期待できます。状況によっては湿布薬や鎮痛剤などを併用する場合もあります。
また、硬膜外ブロック注射を選択することもあります。これはいわゆる麻酔注射ですが、麻酔で痛みを取ると同時に、血のめぐりを良くするという2次的な効果も期待できます。
これらの治療を試しても症状が改善せず、さらに悪化するようなら手術を考えます。手術は症状や状況によって、いろいろな方法があります。代表的なものとして、神経の通り道を広げる手術などが挙げられます。しかしながら、手術を選択するのは重症化した最終段階のケースに限ると考えていただき、まずは保存療法で改善を目指すと理解してください。…続きは本誌にて