泉田知事VS東電・広瀬社長
2013年07月26日
唐突訪問で分かった東京電力の悲しい欠陥
7月5日、東京電力の広瀬直己社長が柏崎市、刈羽村に続き県庁に泉田裕彦知事を訪ねた。その真意はいっいったい何だったのか…? 高飛車な姿勢に出るだろう新潟県知事の姿を天下に晒し、同情をかう作戦だったのだろうか。場の空気を読めないところに東電の〝欠陥〟があるらしい。
フィルターベントの盲点
「東電に聞いてください。東電がいきなり私に会いたいと言って来たんで。会わないのもどうかと。突然の発表でしたのでお会いしたということです」
泉田裕彦知事は7月11日の定例記者会見でこう言った。同月5日、知事は柏崎刈羽原発(6、7号機)の再稼働問題で東京電力の広瀬直己社長と会談し、物別れに終わった。その経緯を問われた知事の発言だ。
東電は地元自治体に事前の連絡もなく、柏崎刈羽原発の再稼働を申請する方針を決めた。これに対し泉田知事は不快感を露わにした。この一件について、原発推進、反対で区別するなら前者の立場に属する県議会筋は「知事が怒るのも無理はない」とした。
「東電があのような対応をすれば知事がどう反応をするか、火を見るより明らかだろう。だから〝東電は知事を兆発するつもりだったのか〟と、深読みもしてみたくなる」(新潟県議)
この県議は唐突な東電の対応ばかりではなく「フィルター(付き)ベントの設備についても問題があり、知事の指摘は適確だった」(同)という。「フィルターベント」は原発事故に際し、原子炉の格納容器内で圧力が上昇し爆発することを避けるため、放射性物質を含む蒸気を建屋外タンクへ送る設備だ。このタンクに蒸気を通すことにより、放出される放射性物質の量を千分の一程度することができるとされる。
7月8日に原発の新たな規制基準が施行された。この新基準では沸騰水型の原発にフィルターベントの設置を求めている。東電が早期の再稼働を申請しようとした柏崎刈羽原発6、7号機はいずれもこのタイプ。
7月11日の記者会見などで、知事は6年前に発生した中越沖地震の経験を語っている。その際、柏崎刈羽原発で火災が発生した。原発の構内から黒煙が上がっているショッキングな映像は未だ記憶に新しい。…続きは本誌にて