『隙間の医療について』
2013年05月28日
お元気でクリニック院長
関原 芳夫 氏
■医師データ
新潟大学医学部卒。同大脳神経外科入局。長岡赤十字病院、長岡中央総合病院、見附市立病院などを経て平成20年に開業。医学博士。
現代医療は専門分野が高度に細分化されたが故に、担当の診療科で原因が分からないと患者がたらい回しにされるなどの指摘もある。そこで今回は、そういった患者に寄り添う隙間の医療を取り上げる。解説は、お元気でクリニックの関原芳夫院長にお願いした。
「確かにつらい症状があるのに、医療機関のどの診療科を受診しても異常なしといわれ、ドクターショッピングを重ねる患者さんがいらっしゃいます。
例えば、腰が痛いとうったえて整形外科を受診したが、レントゲン検査などで骨には異常が見つからないために、マッサージと痛み止めの処方を受けたが、結局、いつまでも治らない。また、なんとなく体調が悪いので内科を受診したが、いろいろ検査をしても原因が分からず、結局、自律神経失調症といったなんだかよく分からない病名をつけられて、精神科や心療内科などを紹介されたなど。
現代医療は医師が自分の専門分野の目でしかみないために、自分に原因が分からないと他科へ回したり、対症療法というとりあえずの治療をして様子を見ましょうといって結局治らないことがあります。そこで、医療の素人である患者さんがインターネットや友達の情報から、いろいろな病院を受診し続ける。
こういったケースでは、原因特定が部分に限られているために治療で一時的に楽になることがあるかもしれませんが、病気の原因を取り除いているわけではないので、いつまでも完治しません。症状を抑えるために薬を飲み続け、医師になにか言うたびに、その量が増えていく。そして、患者さんからは質問もできない医師患者関係ができていきます。
当院では、そんな患者さんに寄り添うべく、現代医療の隙間を埋めるための治療を実践しております。患者さんの症状やその原因というのは千差万別です。そこで、型にはまった問診や診断、治療を行うのではなく、その人に合わせた診療を施していきたいと思っています。原因を特定するために必要であれば、その人の病気に対する考え方や生育歴、家族や友人、職場などの人間関係などにも踏み込んで問診していくこともあります。こうして原因究明することや、場合によっては原因を考えず、患者さんが治ることでどうなりたいのかをサポートする方法を患者さんと共に探っていくようにしています。…続きは本誌にて