元裁判所書記官が現職裁判官に反旗を翻すに至った法廷の闇
2013年05月28日
被告のマンション管理組合に裁判官が不適切な助言
裁判官の狙いは本当に“事件潰し”なのか―
原告が提起した訴訟のその先には、普段われわれが垣間見ることのない裁判所の暗い闇が広がっていた。原告が必要不可欠な主張をしようにも裁判官によってことごとく遮られ、異議を唱えてもことごとく聞き入れられることはない。原告にとって法廷は、もがけばもがくほど身動きの取れなくなる蟻地獄のようだった。しかしながら、あからさまに不公平な扱いを受けた原告が、裁判官に対して事実上の宣戦布告に踏みきるまでには相応の葛藤もあった。なぜならば原告は、長年にわたって裁判官の執務を陰日向で支えてきた元裁判所書記官なのだから。
弁護士不在の本人訴訟
テレビドラマの中の法廷シーンといえば、そのほとんどが殺人事件に付随する刑事裁判ではないだろうか。とりわけ2時間枠のサスペンスドラマの法廷シーンはほぼ100%刑事裁判といっても過言ではない。
一方で昨年放映された堺雅人が敏腕弁護士に扮する「リーガル・ハイ」は刑事事件だけでなく、損害賠償請求をはじめとする民事事件もネタにする異色の法廷コメディーだが、これなどドラマ界全体から見れば文字どおりの“変わりダネ”といえるだろう。
さて、ドラマの中の裁判といえば、刑事・民事を問わず裁判官以上に弁護士が圧倒的な存在感をもって描かれることが多い。先の「リーガル・ハイ」もそうだが、原告と被告の双方に弁護士が付いて、法律家の見地からさまざまな主張をするのは現実の裁判も同様だ。
ところがこと民事裁判においては、ドラマと現実とでは決定的に異なる点がある。一般市民の方々は、現実の世界ではかなりの民事裁判が弁護士不在で行われているという事実をあまりご存じないのではないか。
実際のところ、平成23年度に全国の地方裁判所では民事事件(通常訴訟)が21万2490件行われたが、そのうち原告と被告の両方に弁護士が付いた事件は全体の30%にすぎない。
残りの7割は原告か被告のいずれかにしか弁護士が付いていないか、あるいは原告・被告ともに弁護士の付いていない事件だ。このように原告や被告が弁護士を立てずに行う裁判のことを本人訴訟という。
原告・被告が本人訴訟によって裁判に臨む理由はさまざま考えられる。経済的な事情により弁護士を立てられない人はもちろん、少額請求をめぐる紛争では勝訴したところで微々たる報酬しか見込めないことから、弁護士に相手にされず本人訴訟を余儀なくされるケースもあるだろう。…続きは本誌にて