価格下落でブランドの危機 県産コシヒカリはどうな る!?
2013年03月25日
県産コシヒカリブランドが危機的な状況に瀕している。「新潟産コシヒカリは全国一旨い」と胸を張れたのはもはや昔の話で、日本穀物検査協会が発表した「2012年産食味ランキング」で1位になったのは熊本産米で、県産コシはベスト3入りさえ逃した。価格も関東産コシと同レベルにまで大幅下落し、しかしそれでも大量に売れ残っているという深刻な状況だ。県産コシよ、いったいどうしたのか―。
値崩れ止まらぬ県産コシ
今年2月、大阪の米穀販売会社社長らが逮捕された産地偽装米販売事件は、新潟産コシヒカリに中国産の米を混ぜて売ったとの容疑だ。
ある農業関係者は「この事件こそが今の県産コシヒカリのブランド崩壊を象徴しています」と前置きして続ける。
「なぜ逮捕された連中は、新潟産コシヒカリに中国産米を混ぜて売らなければならなかったかのでしょうか? 答えは新潟産コシヒカリの値段が大幅下落しているからですよ。現時点において新潟産コシは『あきたこまち』と同程度の一俵当たり1万6500円見当で取引されています。
かつてのように新潟産コシが全国一の高値を付けていたときであれば、それよりもずっと安い関東産コシと混ぜても十分に利益が出たはずですが、今では新潟産も関東産も値段は大差ありませんから、連中にとっては混ぜても意味がないのです」
つまり犯行に手を染めた一味が中国産米を混ぜたのは、値段が下がりに下がった新潟産コシで利益を出すための苦肉の策だったというのだ。
別の農業関係者は以下のように語る。
「関東産の価格については、たとえば千葉産コシが一俵1万5千円といったところです。県産コシの中でも価格の高い魚沼産コシ(2万円程度)あたりと混ぜて売れば利益も出たでしょうが、一般の新潟産に混ぜて儲けるとなると、国産米に比べて半額以下程度の中国産を使うしか手がなかったのかもしれません。
現時点で中国産米を販売している大手スーパーは西友くらいのもので、日本ではまったくといっていいほど流通していない。こうした海のものとも山のものともつかない米を混ぜられて売られる県産コシも落ちたものである。