[特集]震災とがれき試験焼却 その2
2012年12月26日
[二転三転で男を落とした篠田・政令市新潟市長]
岩手県大槌町は原発事故と有縁の被災地なのか
新潟市など県内5市が受け入れを表明した岩手県大槌町の震災がれき。しかし、新潟市と新発田市では住民の反対に遭い、試験焼却を延期。既に試験焼却を行った三条市と柏崎市では、それでもなお一部住民が反対運動を起こしている。理由は1つ。震災がれきが放射能汚染されている可能性が拭えないからだろう。はたして、大槌町は原発事故と有縁なのか。
放射能汚染度は低い岩手県
新潟大学工学部の今泉洋教授(放射化学)は、新潟市の試験焼却延期について次のように述べた。
「江南区の住民が、どうしてあそこまで強く反対しなきゃいけないのかと、意外な感じで見ていました。反対派の人たちも恐らく、いろいろな情報を得ているはずで、(大槌町のがれきに含まれる)放射能自体は非常に少ない、もしくはゼロベースであると。これは理解しているはずだとは思うんです。にもかかわらずあのように反対する。ちょっと感情が先走っているのかなと感じました」
こう話す明確な理由があるという。
「SPEEDIなどで解析した限り、大槌町の方には(福島第一原発事故時、上空にあった)雲は行ってないんですよ。岩手県の方には全くと言っていいほど放射能汚染された雲が行っていない。むしろ新潟県に、わずかですが雲が流れてきた。魚沼地方にですね」
これを裏付けるデータが、文科省から発表されている。平成23年11月25日に公表した資料の一部を図①で示した。白黒で分かりづらいがご勘弁いただきたい。
これは、文科省がアメリカエネルギー省と共同で航空機モニタリングを行い、東日本におけるセシウム同位体の沈着状況を色分けしたものだ。この図を分析し、論文にまとめたものがある。
〈原発から環境に放出された放射性セシウムは、福島県の原発の北西方向と、県中央部の郡山盆地に沿って南西方向、並びに原発から南西方向の関東平野にかけて相対的に多く沈着していることがわかる〉(GSJ地質ニュースvol.1 №9 金井豊)…続きは本誌にて