『白内障』
2012年08月27日
笹川眼科院長
笹川 智幸 氏
■医師データ
新潟大学医学部卒。秋田赤十字病院、佐渡総合病院、京都府立医科大学助手、南部郷総合病院、新潟大学医歯学総合病院助手などを経て平成18年に開業。眼科専門医。
病状が進むと視力が著しく低下する白内障。近年は治療法も進歩して、適切な処置を施せば、進行を遅らせたり、くっきりクリアな視界が取り戻せるようになった。ただ、白内障と思い込んでいると思わぬ落とし穴も・・・。そこで今回は、その注意する点や治療法などを笹川眼科の笹川智幸院長に解説していただいた。
「日常耳にすることも多い白内障という病名。しかし、『よく聞く』だけに誤解を持った患者さんにも多くお会いします。今回はその点を踏まえた話をいたします。水晶体が黄白色っぽく濁ることが白内障です。最も多い原因は加齢による老人性白内障です。60歳代で約7割、80歳代ではほぼ全員に起こります。そのため、歳を経てからのかすみは白内障のせいと思い込む方が多く見られます。白内障は、現在ではまず深刻な状態になることの少ない病気です。ただ、それは正しく白内障と診断がついた場合のことです。同時に他の病気が隠れている心配があります。病気によっては治療が必要な時期を逃してしまう恐れもあります。『歳のせいかな?』と思っても、眼科の診察を受けることは非常に大事です。
白内障と診断された場合、進行を予防するために点眼を処方することもあります。サングラスや遮光眼鏡で紫外線などを避ける、糖尿病などの白内障の原因となる病気を防ぐことは大切です。多くの方は様子をみても問題ないのですが、白内障の進行に伴い、緑内障やぶどう膜炎といった他の疾患を併発してくることもあります。定期的に眼科医の診察を受けて適切なアドバイスを受けるようにしてください。本人が不自由を感じる段階では手術を検討します。濁った水晶体を取り除き、人工のレンズ(眼内レンズ)を挿入します。この手術は非常に進歩しており、『無痛で短時間でしかも経過良く』といったご期待に添える場合も多いです。しかし目の状態、他の病気の合併、または全身状態など、安全に手術を行うために把握しておくことは多いのです。主治医と良く相談して決める必要があります。…続きは本誌にて