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2025年04月1日

新潟県給与名鑑「公務員編」

2025年03月27日

一口に「公務員」といっても職の間口は広い。役場内で働く職員だけで人事、広報、議会、統計、税務、福祉など多岐にわたる。農林土木の現場もあれば水道もあるし、教師もそうだ。自治体によっては医者や看護師、バスや鉄道の運転士も公務員として働いている。そんな公務員の給料は横並びと言われる。だが、調べると職種によって異なるだけでなく、自治体間によっても大きく異なるのが現実だ。本稿では、比較可能な職種に限って、どれだけ異なるのか〝見える化〟してみた。

 

手当で差がつく公務員給与

さっそく表1をご覧いただきたい。都道府県間で比較可能な一般行政職、教育公務員(教員)、警察職の3職種について、平均給与月額(諸手当を含む)、年間ボーナス額(期末勤勉手当)、ならびにこれらから推定年収を計算し、年収の多い順に並べ替えたものだ。

 

一般行政職を見ると、1位の東京都と46位の沖縄県、47位の高知県を除く44道府が年収600万円台だった。「600万円台」とひと括りにすれば「横並び」と言えるが、「100万円の年収差」と書いたらとても横並びとは言えまい。東京都と高知県の年収差は約137万円。月にして約11万円差である。

 

東京都の月額給与45万3595円は全国1位。ところが、「諸手当」を除いた月給額は31万8100円となり、全国の中では34番目。下から数えたほうが早い。ついでに記すと諸手当を除いた月給額は、都道府県間でほとんど差はない(支給される諸手当の解説は65ページの表を参照されたい)。

 

実のところ、平均給与月額の差は諸手当の差と言っていい。東京都は諸手当支給額が群を抜いて高い。月平均14万円だ。中でも地域手当が月平均6万5599円も支給されている。新潟県の諸手当支給額は8万19円、うち地域手当支給額は5395円でしかない。そして、諸手当の差である約6万円は、まさに地域手当の差であることが分かる。

 

 

地域手当とは、「地域の民間賃金水準を公務員給与に適切に反映するため、(中略)物価等も踏まえつつ、主に民間賃金の高い地域に勤務する職員に支給される手当」(総務省「給与・定員等の状況」)。支給割合は7段階に区分されている。早い話、大都市圏ほど手厚い。「現在の地域手当はすべての公務員に支給されるわけではなく、新潟県内なら新潟市内の官公庁、庁舎に勤務する公務員にのみ地域手当が支給されています。ただし、(新潟市は)7段階の支給割合で最低ランク。都落ちしてくる公務員や大学教員などは、『(地域手当が)あるだけマシ』と、嘆き節とも恨み節ともつかぬ悲鳴を上げるそうです」(新潟市内の公務施設に勤務する公務員)

 

国の官僚が地方に出向することはよくある。地域手当が手厚かった地域から、支給ゼロの地域に勤務することだってある。この場合は、激変緩和措置があるものの、長期間務めるとやがてゼロになり、月給は下がる。「地域手当は期末勤勉手当(ボーナス)にも反映されるため、ひいては年収も上がったり下がったりするのです」 (同)

 

地域手当は新年度の4月から見直され、都道府県単位かつ7段階から5段階へと簡素化されるという。人事院が公表している資料によれば、新潟県も新潟市もまさかの「ゼロ」と記されている。県内はますます公務員のなり手不足が進む⁉…続きは本誌で

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