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2025年03月10日

岩塚製菓 ヒット商品を生み出す試行錯誤の裏側

2025年02月27日

新潟の杉と男は育たないと言われて久しい。が、県米菓業界こそは別格。なにせ上位5社で米菓全国シェアの7割を占めるのだから凄まじい。その背景にあった各創業者の優れた資質、製造技術を指導した加茂食品研究所の斎藤昭三氏の存在を忘れてはならない。(聞き手 本誌 瀬戸田鎮郎)

 

最初からうまくいったヒット商品はありません

 

瀬戸田 米菓のヒット商品が生まれる確率は千に一つと聞いております。ヒット商品を生み出すのはそれくらい難しい。商品会議で「これは売れる」と太鼓判を押された試作品でも当たったためしがないとか、「こんなの売れるわけがない」と断言された商品が大ヒット商品に大化けしたりとか、とかく外れっぱなしのようですね。亀田製菓の「まがりせんべい」がそのようで、御社はどうでしたか。

 

 当社の主力商品となっている商品でも、最初からうまくいった商品は一つもないですね。例えば、今現在、弊社の売れ筋ナンバーワンブランドは「田舎のおかき」なんですが、当初は鳴かず飛ばずで、一度は生産を辞めた商品だったのです。

 

それを新たに仕立て直し、内容量や形態を変更して値段を抑えたり。直近では、改良を重ね、包装もアルミ化したことで賞味期限を延ばしたりして、徐々に
売上が伸びていったのです。

 

ヒット商品は美味しくて、お値段がそれなりだけじゃなくて、供給体制がしっかり整っているとか、いろんな要素が絡み合って育っていくもの、と思います。

 

瀬戸田 生産を辞めてから、どのくらいで再開したのですか。

 

 最初の売り出しが2002年、再開が2009年。それも凄く売れたわけではなく、じわじわと売れ始めて15年が経ちましたが、まだ天井知らずで伸びています。

 

瀬戸田 単品で年間どれくらい売れるのですか。

 

 「田舎のおかき」は醤油・塩・ざらめ・青のりの4品で総売上高に占める割合は15%を超えています。

 

瀬戸田 米菓での売れ筋トップ、亀田製菓「柿の種」の300 億には届きませんが、立派なものです。

 

 弊社の単品で一番売り上げ実績のあるのが「黒豆せんべい」ですが、販売を見直すくらい売り上げに苦戦した時期があったようです。「味しらべ」も会長曰く、ヒットするまで3年くらいかかったと言っていました。

 

瀬戸田 最近では1年間に新商品をどのくらい作るのですか。

 

 季節ものも含めて、子会社も入れると300以上だと思いますが、全部売りに出すわけではありません。会議の段階で辞めるのもありますし、売り上げ不振から翌年の販売を停止するものもあります。…続きは本誌で

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