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2025年01月22日

「大学2040年問題」を乗り越える園内私大のあるやなしや

2024年12月27日

前稿から私大の生き残りに必要な「三つの優位性」に乏しいことが分かった県内私大。政令・新潟市もどんどんと人口が減る。統合などで規模を大きくし、あるいは難易度を高めることは可能だが、その動きはいまのところない。2040年を生き残れる要素がないのだが、だからと言って、県内全ての私大が消滅するとも思えない。不利な現状を克服して勝ち残れそうな県内私大を探る。

 

2040年、総定員割れ

 

2040年における全国の大学入学者数は50万人を下回ると推測されている。現在の大学・短大の入学定員である約68万人を大きく下回る。もし現在の定員を満たす必要があるとすると、現状以上の大学進学率を達成するか、20万人もの留学生に入学してもらう必要がある。文科省・中央教育審議会「大学分科会高等教育の在り方に関する特別部会」でも、2040年以降の留学生比率によって大学定員がどう充足されるか、試算結果が示された。

 

これによると(表1)、2040年の国内の大学進学率を60%とした条件で、留学生比率が現状のまま(3・1%)だとすると、同年の大学入学者
数は51万人、定員充足率は81・8%。留学生比率がOECD平均の4・8%まで高まると、入学者数は52万人、充足率は83%まで改善。さらにG7平均の8・1%にまで高まると、入学者数は54万人、充足率は86%まで改善される。

 

いずれも充足率100%に足りない。どう頑張っても、最低でも10万人の定員不足が生じる。加えて、

「日本の大学は、良くも悪くも日本語で学べる。留学生を呼び込むには、日本語が標準言語の日本の大学には、今後は不利」 (県内の大学教員)

と指摘する向きもある。右の数字は、楽観的推計とも言えよう。

 

同部会はさらに、2040年における各都道府県の18歳人口、大学進学者数なども試算し、公表した(表2)。

2021年の入学定員充足率は全国平均で100%を超え、定員割れしていたのは本県を含む20府県。2040年になると全都道府県が定員割れ
する。県内大学の現状と予測はどうか。

 

【2021年】
大学進学者数 8698人
県内の大学への入学者(県外からの入学者を含む)6592人
【2040年推計】
大学進学者数  6084人
県内の大学への入学者(同) 5363人

 

いずれも21年から減少する見込みだ。さらに中教審は、国立・公立・私立の設置種別に、21年の入学者数と入学定員充足率、それらの40年の推計値も公表した(表3―①。40年の定員は21年と同数と仮定)。

 

【2021年 県内】
国立大 定員 2467人
入学者 2547人
充足率 103%
公立大 定員 765人
入学者 826人
充足率 108%
私立大 定員 3467人
入学者 3219人
充足率 93%
【2040年推計 県内】
国立大 定員 2467人
入学者 2072人
充足率 84%
公立大 定員 765人
入学者 672人
充足率 88%
私立大 定員 3219人
入学者 2619人
充足率 76%

 

21年に全県で98%だった定員充足率は、40年には80%まで低下し、国公私立とも定員割れに陥ると中教審は見込む。中でも私大は、76%にまで低下するという試算結果だ。一般的に危険水域は60%未満と言われている。…続きは本誌で

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