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2025年01月22日

3期目突入の林茂男・南魚沼市長 消えた(⁉)副市長人事

2024年12月27日

県内で「最もアグレッシブな首長」として知られるのが南魚沼市の林茂男市長だ。好きな言葉は「おもしろきこともなき世を おもしろく」だとか。11月の選挙で相手候補を一蹴し、3選を果たした。勢いに乗った同市長が、12月の市議会に提出した議案に「取り消し」があった。それが「副市長の選任について」。不測の事態が勃発か?

 

11月24日に投開票が行われた南魚沼市長選だが、現職の林茂男市長が3選を果たした。選挙は黒岩揺光元市議との一騎打ちで、得票は林市長が1万8千771票、黒岩元市議が4千895票。因縁の対決は同市長の圧勝に終わった。

 

「因縁の対決」と言うのには理由がある。南魚沼市にとって大きな課題の一つが新しいごみ処理施設の建設だ。当初の計画地は、大和地域の国際大学隣接地だった。2019(令和元)年11月、同大学の留学生らが市役所に出向き、林市長にごみ処理施設の建設反対を訴えた。

 

地元、八色地区のスイカ農家らも反対を表明。国際大学隣接地での計画は撤回せざるを得なくなった。その際、留学生らを伴って林市長と相対したのが、市議になる前の黒岩氏。同氏はその翌年の市長選に出馬するも、今回以上に大敗した。

 

その後、黒岩氏は市議選で初当選。議会では破天荒な活躍ぶりで、林市長にとって黒岩市議は〝天敵〟のような存在だった。一部に「仲良くけんかする〝トムとジェリー〟みたいな関係」といった指摘もあったが。

 

それはともかく、〝天敵〟が去った12月の市議会が、3期目の林市長にとって初の議会だった。開会は同月9日。初日の本会議で、同市長は行政報告とともに、「若者が帰って来られる、住み続けられるふるさとにという初心を忘れることなく…」と、所信表明を行った。

 

令和5年度、ふるさと納税の額で南魚沼市は約57億円と県内トップ。林市長の行政報告によれば、12月8日現在で、同6年度のふるさと納税額は約
48億5千万円だという。

 

県内で最もガッツあふれるアグレッシブな首長とされるのが林茂男市長だ。課題のごみ処理施設だが、かつて事業費は150億円と言われた。今や建設物価の高騰もあり「概算で170億円から278億円」だとか。建設予定地は現在ある施設の隣接地で、既に「地元の同意も得た」という(林茂男後援会の市長インタビュー動画より)。

 

さらに市内でも塩沢地域にある「道の駅」もビッグに整備するという。南魚沼には市民病院もあるが、その隣接地に既存の健診施設を移転、新築する。果敢なまでの積極プロジェクトが目白押しだ。

 

ガッツあふれる林市長に不測の事態が発生した。前市長時代からの副市長、岡村聡氏は12月21日付で退任。後任の選任案が12月の市議会に示されることになっていた。だが同月16日付で「取り下げ」となった。

 

自民党関係者の間で、「参院選の候補者公募に漏れた加茂市の元CSO(最高戦略責任者)を南魚沼市の副市長に迎える」といった噂話がささやかれたことがある。だが、この元CSOは大手商社への就職が決まったという。

 

一般に人事案件については満場一致で可決してもらえるよう、根回しも済んだ状態で提案される。いったん示された人事案件の「取り下げ」は、不測の事態発生か、あるいは市長の勇み足か。ガッツあふれるプロジェクト満載の南魚沼市だけに、苦労が多そうな副市長のなり手がなかったのかも…。

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