県債管理基金の運用で過去10年間に124億円損失の衝撃
2024年12月27日
県議会12月定例会本会議の代表質問で、県が将来の借金返済のために積み立てている「県債管理基金」の満期一括償還分の運用において、過去10年間に124億円もの損失が生じていたことが明らかとなった。運用の仕方が低金利下にあっても預金主体で、他の自治体のように高金利が期待できる国債購入などを手控えたのが要因だ。これに関連して代表質問では、県議が県職員の能力や資質に言及する場面もあった。
40年以上前から、優秀な新卒学生は銀行ではなく県庁に就職
県財政において過去10年間に124億円もの損失が生じていた事実は、12月5日に行われた県議会12月定例会本会議での重川隆広議員(リベラル新潟・新潟市西蒲区選出)による代表質問で明らかとなった。
重川議員といえば、議会において民間の借金にあたる県債の繰り上げ償還(返済)の必要性を再三にわたって指摘。当初、県当局は否定的だったが、徐々に理解を深めて試算をしてみると、2024年度から3年間かけて繰り上げ償還をした場合、総額34億円もの金利負担削減が図れることを確認されたのだった。このあたりの経緯は本誌2024年8月号が詳しく報じている。
もちろん県はただちに2024年度から繰り上げ償還をすることを決めたが、最大の功労者は県当局に先んじて県債繰り上げ償還の必要性を強く訴えた重川議員にほかならない。
その重川議員は財政問題を取り上げる前に、県庁組織の体質について以下のように述べた。
「新潟県庁には能力の高い職員が多いと受け止めています。40年前に県内金融機関の人事課長経験者に尋ねました。〝県内企業に勤めたい人の中で一番優秀な人たちが銀行に来るんですか?〟。答えは〝県庁です〟。
5年前にも人事担当役員に同様の質問をしましたら、〝トップは県庁、2番目は新潟市役所です。(新潟市役所は)間もなく県庁に並ぶでしょう〟 との回答でした」(県議会12月定例会代表質問での重川議員の質問より)
約40年前、県内の新卒学生が最も就職したいと考えていた地元企業は旧第四銀行だった。しかしながら重川議員の話に出てくる県内金融機関の人事課長経験者によれば、一番優秀な人たちは銀行ではなく県庁に就職したという。いかに地元企業の中では人気ナンバーワンの旧第四銀行といえども、県庁の人気にはかなわなかったらしい。
そして重川議員は以下のように続けるのだった。
「このように能力の高い県職員が先頭になり取り組んでいるにもかかわらず、起債許可団体転落など財政関係をはじめとした各種指標がなぜ全国下位に沈んでいるのかを考えると、県庁の組織体質に問題があると考えます」 (同)
ある経済人が話す。
「入庁した当初は県庁職員のほうが銀行員よりも優秀なのかもしれませんが、県庁職員はその後、徐々に銀行員に追いつかれて抜かれるのだと思います。それはそうですよ、県庁職員には何もノルマがありませんが、銀行員は常にノルマに追われていて、成績優秀者が支店長や副支店長になれるのですから必死さが違います」(会社社長)…続きは本誌で