裏金だけじゃない! 自民党の“裏党員”疑惑
2024年11月01日
連続20年間在籍の「自民党 功労党員証」を交付された60代の男性がいる。この男性は「党費は入党時に一度払っただけで、その後は一切払っていない」と言う。この、いわば「裏党員」が所属したことになっていたのが同党第一選挙区支部で、支部長は塚田一郎前衆院議員。昨年6月、同支部の収支報告書について、「党員、党費の不記載」を「虚偽記載」として、新潟市民オンブズマンが県警に告発していた(敬称略)。
「不記載」にお咎めなしも
10月27日に投開票が行われた衆院選だが、本県の1区では立憲民主の西村智奈美が当選、自民の塚田一郎は2回連続して選挙区で敗退してしまった。そして前回のように比例で復活することもできなかった。
この衆院選で暴風となったのが「裏金」問題。自民党の派閥が開催した政治資金パーティーのキックバック分に関する政治資金収支報告書への「不記載」、「記載漏れ」だった。この裏金の一件から自民公認を外されたのが2区の細田健一であり、比例代表の名簿にその名が登載されなかったのが5区の高鳥修一だった。この2人が「裏金議員」の烙印を押され、沈没してしまった。
2人はともに旧安倍派の所属で、「派閥からの指示に従って還付金(キックバック)を処理していたもので、「自ら進んで裏金作りに奔走した」というわけではなかった。その2人も党から戒告処分とされ、前述のような憂き目を見た。
高鳥や細田の支持者、あるいは自民党の内部からも、「なぜこちらが処分され、あっちは何のお咎めもないのか」という声が上がった。「裏金」問題は、同党内部の対立を生む要因にもなっている。そして「あっちは何のお咎めもないのか」と矛先が向けられた一人が、1区から自民公認で出馬した塚田一郎だった。
昨年6月、新潟市民オンブズマン(谷正比呂代表)は、塚田一郎衆院議員(当時)、そして同氏が代表を務める「自民党新潟第一選挙区支部」の会計責任者の二人を被告発人とする告発状を県警に提出した。罪状は政治資金規正法違反で「虚偽記載」の疑いだった。
告発状によれば、「第一選挙区支部」の収支報告書では、長年にわたって党員数や党費収入の記載がない虚偽記載(虚偽報告)が常態化し、「重過失が認められる」とされた。
その後の報道によれば、この告発は昨年10月、被告発人から塚田議員の名を外した上で、新潟県警が受理したとのことだった。
こうした「不記載」が見つかっても、塚田議員(当時)の場合、前出の高鳥や細田のように戒告処分になるわけでも、公認を外されたり、比例代表との重複立候補が認められなくなることもなかった。
既に「裏金」問題の渦中だった昨年12月、東京都の選管に届け出してある塚田衆院議員(当時)の政治資金管理団体「十一会」では、麻生派(志公会)からの寄附、348万円の記載漏れが判明。同月中に収支報告書が訂正された。これに関しても、党からのお咎めは何もなかった。…続きは本誌で