就活戦線は空前の売り手市場で「超青田買い」が加速
2024年09月27日
新卒大学生にとって、ここ数年はかつてないほどの「売り手市場」となっている。とりわけ2024年卒業予定の学生たちは、コロナ禍を乗り越えた今、人材不足が深刻化する中で、企業からの熱烈なラブコールを受けている。内定率が過去最高を記録し、さらにその内定獲得の時期が前倒しされる「超青田買い」が加速している現状をリポートする。
アフターコロナの人手不足で求人倍率が急上昇
文部科学省の発表によると、2024年卒業予定の大学生の3年生2月時点での内定率は19・9%を記録したという。2017年卒業生の同時期の内定率がわずか2・3%だったことを踏まえると、7年で内定の早期化が急速に進んだ格好だ。その背景にはいうまでもなく深刻化する人手不足がある。
大学生の就活戦線に詳しい関係筋が話す
「企業側は優秀な人材を確保するために、学生が本格的に就活を始める前に手を打つ必要があります。結果、今では3年生の春から企業説明会やインターンシップが当たり前のように行われています」(経営コンサルタント)
事実、現在は企業によるインターンシップが就活のスタートラインになりつつあり、これは実質的に就活の早期選考につながっている。
一方、企業の求人倍率を見ると、全体としては1・71倍と学生にとって有利な状況が続いているが、その中身を見てみると大手企業と中小企業では大きな差がある。
従業員5000人以上の大手企業の求人倍率が0・41倍なのに対して、従業員300人未満の中小企業では6・19倍と大きな開きがある。つまり学生全体にとっては売り手市場となってはいるものの、大手の超人気企業からの内定獲得は依然として「狭き門」となっているというわけだ。
就活が早期化する中で、学生たちの就活も「二極化」しているといわれる。早めに情報収集を始め、自分から積極的に企業にアプローチした学生たちがいくつもの企業から内定をもらっているのに対して、スタートが遅れた学生は苦戦しているという。
とくにコロナ禍では授業や就活のオンライン化が進んだことで、学生同士の情報交換や相互支援の機会が減り、その差が顕著になっているようだ。
ある大学4年の男子学生は以下のように話す。
「コロナ禍では友達と情報交換する機会が減ってしまって、自分だけが取り残されているような焦燥感がありました。周りがどんどん内定をもらう中で、焦りばかりが募ってしまって…。結局、私は3年生の夏のインターンシップにも参加せずに、就活スタートが遅れてしまいました」(私立大4年の男子学生)
とはいえ、この男性学生もその後に数社から内定をもらったという。まさに目下の就活戦線は空前の売り手市場なのだ。…続きは本誌で