2025年度大学入試“すき間情報”
2024年08月27日
大学入試成功のカギは、良質な情報を掴むことが肝要だ。だが、特に初めて大学受験に臨む場合は何が良質な情報かはなかなか分からないもの。入試情報は溢れており、真に必要な情報の見極めも難しい。そこで本誌は、これまで約20年に渡る大学入試取材・調査から、とっておきの〝お役立ち情報〟を提供したいと思う(掲載した情報は基本的に昨年度までのもの。2025年度入試では変更されている場合があるので、必ず各大学の入試要項等を確認のこと)
スポーツの実績が高得点で加算される大学がある⁉
今号発売日は8月下旬だが、本稿の準備から執筆にかけては夏真っ盛りの時期。この間、インターハイや夏の高校野球、さらにはパリオリンピックが開かれ、国内外のスポーツの祭典で中高生や大学生の活躍を目の当たりにした。
「文武両道」とよく言われる。勉学も部活動もトップレベルの成績を収める者に対して使われる。「甲子園に出場し、かつ東大にも合格」などは、絵に描いたような文武両道だ。
文武両道の意味合いがやや異なるが、一般的には超難関大と目されるものの、スポーツも極めて強い大学がある。たとえば早稲田大。勉強に優れた者も、スポーツの才に秀でた者も早大に行きたがる。よく聞くのは、早大のカラーである「臙脂のユニフォームに憧れる」という選手らの言葉だ。
早大の体育会所属学生の多くは、スカウトやスポーツ推薦入試、さらには附属校・系属校からの内部進学など、いわゆる一般選抜入試を経ないで入学する。スカウトから漏れ、あるいは推薦入試などで不合格だったものの、それでも早大に行きたい、早大でプレーしたい選手は少なくないようだ。
そこで、文武両道を自負する受験生に、早大スポーツ科学部の「共通テスト+競技歴方式」を紹介したい。共通テストの得点に加え、高校時代の競技実績を得点化。その合計点で合否が決まる入試だ。インターハイなど全国大会に出場し、かつ勉強にも自信がある受験生にもってこいの入試と言えそう。
2025年度入試の定員は75名。昨年度までの50名より25名増やす。共テは3科目で400点満点。これに「スポーツ競技歴調査書」の150点満点が加わり、計550点満点となる。
ポイントは「スポーツ競技歴調査書」。頑張ってきたスポーツの実績を加点するというものだ。大学は、「満点150点」という配点しか公表していないため、「全国大会出場で何点」といった詳細は全くもって不明だが、どうも全国大会出場が高得点には必要のようだ。
そしてこの入試では、競技歴が威力を発揮する場合がある。
左ページの写真をご覧いただきたい。「駿台・ベネッセ」の「データネット」から抜粋したものだ。これは、2024年度の「共通テスト+競技歴方式」に出願を予定している受験生の共通テスト成績から、得点別の出願予定者数と合格ラインをまとめた度数分布である。
「昨年度」(2023年度入試)の欄の「合格」の行を見ると、C判定(共テ得点率70%)だけでなくD判定(同65%)にも数字が記されている。低い判定からも一定数の合格者がいたことを意味する。恐らく、競技歴が高得点で合格ラインに達したのだろう。仮に少しくらい共テのデキが悪くても、頑張ってきたスポーツの得点がカバーしてくれるのだ。逆にA判定ラインを大きく上回る340点(同85%)で不合格者がいた。競技歴の得点が、A判定受験者の得点をも凌駕したことになる。これがこの入試の魅力と言えよう。
早大同様に難関大と言われる同志社大スポーツ健康科学部にも、これと似た方式の入試がある。「スポーツ競技力加点方式」だ。
共テ3科目400点満点に「競技力審査点」200点満点を加算し、合計600点満点。早大同様、競技力審査点の詳細は非公表。「全国大会出場で満点」という説が流布しており、本当なら相当なアドバンテージだ。
今春、この入試方式に挑んだ大学生がいる。昨夏、インターハイに出場したという。
「共テの得点率は66%、業者の判定はDやE判定。ボーダーは70%だったので不合格だと割り切って(合格発表の2月中旬は)国公立対策をしていました。ところが、まさかの合格。合格発表のサイトを何度も〝ガン見〟しました。
全国大会出場者は満点だと噂には聞いていました。確かに私の場合は、競技歴で満点じゃないと合格できない(共テの)得点率のはずだったので、限りなく事実に近い噂だと思います」
これも2023年度入試の度数分布を分析すると、共テ得点率60%で合格者がいる一方で、82%で不合格者がいた。どうやら両大学とも、
全国大会出場というスポーツ競技歴は極めて有利になると思われる。
競技実績によっては高得点を与えてくれる入試は、まさに文武両道にもってこいの入試ではないか。…続きは本誌で