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2024年12月4日

JR信越本線高速化は「夢より現実を」

2024年08月27日

その昔、上越地域の政治家は、「新潟県は〝蒲原政治〟だ」と言って批判したという。本県ではまず新潟など蒲原側に上越新幹線が開通。それから33年後、上越地域に北陸新幹線がやってきた。そのとばっちりで、上越、新潟の両地域を結ぶJR信越本線がかえって不便になった。上越-長岡間の「新幹線空白地帯」を高速化することが課題なのだが…。

 

上越地域に本社がある建設会社の役員はこう言う。

「上越妙高から金沢まで、北陸新幹線で1時間ちょい。糸魚川からなら50分です。新潟に行くよりずっと近い」

 

特急「しらゆき」はJR信越本線とえちごトキめき鉄道で、新潟と上越妙高、新井の間を結んでいる。始発から終点まで、およそ2時間かかる。本数は上り下りとも1日4本(そのうち新井始発の上りは2本)。

 

上越妙高から東京まで、北陸新幹線で約2時間。上越地域から新潟地域への便は、東京へ行くよりずっと悪い。

 

「新潟ではトキエアが話題でしたが、上越地域にとって関心事ではありません。2時間半かけて新潟空港に行くより、富山空港を使った方が近くて便利」 (同)

 

平成27(2015)年3月、北陸新幹線・長野-金沢間が開業して以降、鉄道による上越地域と新潟地域のアクセスは悪化するばかり。そこで「新幹線の空白地帯」、上越-長岡間の鉄道高速化が課題となって久しい。

 

既に有識者による検討委員会が4つの案を示した。上越、あるいは糸魚川から長岡間のJR信越本線などをミニ新幹線化する、信越本線を改良して高速化するといったものだ。この4案の中には、上越からほくほく線で上越新幹線の浦佐駅に向かうという案も含まれている。

 

その4案の事業費なのだが、1千200億円から2千100億円と想定されている。

「半端ではない投資で、国がそこまで面倒をみてくれるか…」(同)

 

上越地域の保守系県議はこう言う。

「上越地域の住民が望んでいるのは、長期の夢物語より今あるインフラを生かし、すぐに対応してほしいということです。上越市選出の馬場秀幸県議がいい質問をしていましたよ」

 

1期目の馬場県議は東大卒の弁護士。去年の選挙で、共産党の推薦を得て初当選した。その年の11月に行われた決算委員会だった(以下は会議録を要約)。

 

「鉄道高速化で4案が示されましたが、いずれも事業費が1千億から2千億円程度で、実現までにどのくらいかかるか不明です。借金財政からの脱却を目指す県ですから、こうした大型の公共事業を検討する前に、上越-新潟間の(特急や快速の)運行本数、運賃体系等を、できる限り従前に戻す、これをJRと交渉することが先決ではないでしょうか」 (馬場県議)

 

答弁したのは花角英世知事だった。

「中長期的な取り組みもしなければ、これは何年先になるか分からないけれども、取りかからなければ動きませんので、まさに(短期の取り組みと)両方をにらみながら、取り組んでまいりたいと思います」

 

「夢も現実も、どちらも大事」ということだ。

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