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2024年12月3日

34億円節減! 県財政を救った社長兼県議の経営者的発想

2024年07月26日

有権者にとって政治家の仕事ぶりほど見えづらいものはない。有権者の負託を受けた政治家本人は自身の頑張りを強調するが、実際には何の役にも立っていない議員がゴロゴロいるとの評判がもっぱらだ。こうした中、新潟県議会に所属する一人の議員が県の財政状況に34億円ものプラス効果を与えるという叙勲ものの働きを見せた。その鋭い着眼は経営者的な発想からくるものだった。

 

34億円もの金利負担節減の立役者は議員だった

 

県は今年3月初め、2024年度から3年間かけて民間の借金にあたる県債の繰り上げ償還(返済)を行うことを明らかにした。具体的には24年度から26年度に20年の満期を迎える県債の一部について新たな借り換えをせず、実質的な前倒し返済をするというものだ。

 

こうした方針が示された中、3月5日に県議会総務文教委員会では、リベラル新潟の重川隆廣議員(新潟市西蒲区選出)が県当局に以下のように質問した。「県債基金、県債管理基金、公債費調整分の令和5年度末残高は406億円と県は見込んでいます。令和6年度当初予算で活用予定の23億円を除いた 383億円をすべて活用し、令和6年度に繰り上げ償還を行った場合に、令和6年から令和18年までの削減額の総額はいくらになるのか伺います」 (重川議員)

 

これに対して県当局は以下のように答えた。

「仮に令和6年度に基金の残高の383億円を活用して償還の前倒しを行った場合になりますけれども、令和6年度の推計金利0・9%で試算をしますと、総額トータルで34億円程度の金利の削減が図られると考えております」 (財政課長)

 

10年間に金利負担を34億円も節減できるというのだから、繰り上げ償還の効果は絶大だ。しかも金利が上昇するほど節減効果は大きくなるという。

 

税金を納めている県民にとっては文字どおり朗報だが、この繰り上げ償還の大きな効果に早くから着目していたのは実のところ花角英世知事でも財政課職員でもなかった。

 

前述のとおり、県は今年3月に繰り上げ償還を行う方針を打ち出したが、その県に対して5カ月前から繰り上げ償還に踏み切るよう強く促していたのが、ほかならぬ質問者の重川議員本人だったのだ。

 

重川議員は23年10月に財政課に対して繰り上げ償還を提案したのを手始めに、同年11月の決算審査特別委員会でも改めて提案。さらに12月定例会の代表質問や常任委員会での質問、24年2月定例会の代表質問を通じて、その重要性を強調してきた。

 

議会でのやり取りを振り返ると、重川議員から提案を受けた財政課職員は当初、2つの理由を挙げて繰り上げ償還は困難と否定したが、同議員が簡単な絵を描いて説明したところ、提案内容に大きな意義があることを理解したようだ。

 

その後、11 月の決算審査特別委員会で財政課長も肯定的な見解を示し、さらに12月定例会では花角知事も「研究をしてみたい」と答弁するなど、繰り上げ償還の実現に向けて一段ずつステージを高めていったことが窺える。…続きは本誌で

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