リニア新幹線開業で県内温泉地が直面する「2034年問題」
2024年07月26日
リニア中央新幹線計画をめぐって事態が大きく動き始めた。今年4月、着工に反対していた静岡県の川勝平太知事が失言の責任を取って辞意を表明したためだ。同新幹線の開業は早くても2034年以降とされるが、開業により品川―名古屋間を40分で結ぶことになれば、本県の観光産業も呑気に構えてはいられなくなる。中でも最も大きな影響を受けるのが県内の温泉地だといわれている。
静岡県の川勝知事が失言の責任を取って辞意表明
JR東海は今年3月29日、これまで目指してきたリニア中央新幹線の2027年開業を断念する方針を明らかにした。静岡県が着工を認めず、工事完了の見通しが立たないのが理由だ。
ところがそのわずか4日後の4月2日、思わぬ事態が発生する。それまで頑なに着工に反対してきた静岡県の川勝平太知事が辞意を表明したのだ。
川勝知事といえば、過去にもたびたび失言をして世間の批判を浴びる人物としてつとに有名だったが、最終的に知事の椅子を返上することになった原因もやはり失言だった。
川勝知事は4月1日に行われた静岡県庁の入庁式で新規採用職員を前に、「実は県庁というのは別の言葉でいうとシンクタンク。毎日、毎日、野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったりとかということと違って、基本的に皆様方は頭脳・知性の高い方たち。ですから、それを磨く必要がある」と"訓示"したところ、この発言が職業差別にあたるとして批判が殺到。これを受けて同知事は翌2日に辞意を表明したのだった。
静岡県に隣接する山梨県の関係者が話す。
「いやー、私たち山梨県民にとって静岡の川勝知事の辞職は願ったり叶ったりですよ。川勝知事といえば、リニア中央新幹線計画をめぐって、わが山梨県の長崎幸太郎知事ともたびたび激しいバトルを繰り広げてきたことでも知られています。
いうまでもなく長崎知事はリニア中央新幹線計画を推進しようとしているのに対して、川勝知事は反対を唱える立場とあって、その関係はまさに水と油でした」 (甲府市の会社社長)
静岡の川勝知事と山梨の長崎知事は"水の所有権"をめぐるバトルでも有名だった。
同氏が続ける。
「JR東海は地質や地下水の状況を把握するために、山梨県側でボーリング調査を行っていますが、川勝知事はそれによって静岡県の水が流出する懸念があるとして、県境までの300㍍の区間は掘り進めないように求めたのです。
これに対して山梨の長崎知事は"山梨県で出た水は山梨県の水だ"と強く主張。一方の川勝知事は"静岡県の水だ"と反論し、水の所有権をめぐる論争はまさしく"水掛け論"となっていました」 (同)…続きは本誌で