─ 加齢で時間経過が早く感じられる「 ジャネの法則」と浮気への衝動 ─
2024年07月26日
1歳児にとって1年は365日、50歳の人にとって1年は7・3日
昔から「光陰矢のごとし」と申します。月日が過ぎていくのは飛んでいく矢のように早いことのたとえです。しかも人は年齢を重ねるにつれて、歳月が過ぎ去るスピードをさらに速く感じるようになるといいます。このことは多くの方々が経験しているに違いありません。
そこで今回は、月日が過ぎ行くテンポの速さと浮気願望の関係について、私たち探偵が調査を通じて常日頃から抱いている雑感についてお話ししてみたいと思います。読者の皆さんは「ジャネの法則」をご存じでしょうか? 19世紀のフランスの哲学者のポール・ジャネが発案した法則で、生涯のある時期における時間の主観的に感じる長さは年齢に反比例するというものです。
端的にいいますと、たとえば50歳の人にとっての1年の長さはそれまで生きてきた人生の50分の1ですが、5歳の子供にとっての1年はそれまで生きてきた人生の5分の1であることから、主観的に感じる年月の長さは歳を重ねるほど短くなるといいます。つまり歳を取れば取るほど、歳月の過ぎ去るスピードが速くなったように感じられるというわけです。
一説によると、「ジャネの法則」に基づいて1年の体感的な長さを年齢別に比較すると、1歳のときには1年を365日の長さに感じていたのに対し、50歳では同じ1年を7・30日の長さにしか感じていないといいます。
さらに60歳では6・08日、70歳では5・21日、80歳では4・56日の長さにしか感じていないそうですから、多くの人たちが「年を追うごとに月日の経つのが早く感じられるようになった」と嘆くことは、あながち気のせいでもなさそうです。
とはいえポール・ジャネの甥のピエール・ジャネは著書「記憶の進化と時間観念」の中で、「ジャネの法則」を時間観念に関する諸説のひとつとして批判的に紹介しているほか、日本の心理学者の一川誠も「年齢は感じられる時間の長さを決定する唯一の要因ではない」と問題点を指摘しています。
別の研究者によると、子供の頃は見るもの聞くものが初めてのものばかりで、それらに対応するために常に脳が働いているといいます。しかしさまざまな経験を積むにつれて脳は「これは過去に経験済み」と判断するようになり、スイッチをオンからオフに切り替える時間が格段に長くなるというのです。
当然、スイッチがオフになっている間は脳が“開店休業状態”のようなものですから、本人が後になって振り返ってみると、瞬く間に時間が過ぎ去ってしまったような感覚に囚われてもおかしくないのだといいます。
これが事実だとすると、毎日同じことを繰り返して単調な生活を送っている人と、常に新しいことにチャレンジしている人とでは、時間の過ぎ去るスピードが違って感じられることでしょう。
私の知人がこんな話をしてくれました。
「普段は毎日があっと言う間に過ぎ去りますが、海外に1週間くらい出掛けると、日本にいるときよりも2倍も3倍も時間が長く感じられます。異国の地では見るもの聞くものがすべて新鮮で、脳に記憶される内容がそれだけ多いからに違いありません」 (50代男性)…続きは本誌で