国が推奨する「1日6千歩、筋トレ週2、3回」は可能なのか⁉
2024年01月28日
厚生労働省の検討会はこのほど健康増進を目的に、身体活動や運動の目安となるガイド案をまとめた。ガイド案では「成人は1日に60分(約8000歩)以上、高齢者は1日に40分(約6000歩)以上の歩行」、加えて「成人、高齢者ともに週2~3回の筋力トレーニング」を推奨している。普段、積極的に運動をしていない人たちにとっては相当高いハードルと思われるが、果たして実現のほどやいかに―。
身体活動で心血管疾患死亡のリスクが約30%低下
厚労省の検討会は2023年11月27日、「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023(案)」をまとめた。
それによると、「成人は1日に60分(約8000歩)以上」、「高齢者は1日に40分(約6000歩)以上」の歩行を推奨。それに加えて、成人、高齢者ともに「週2~3回の筋力トレーニング」を推奨している。
同ガイドの改訂は10年ぶりで、今回示されたガイド案では、子供(18歳未満)、成人(18歳以上)、高齢者(65歳以上)に分け、科学的根拠を基にライフステージ別の身体活動・運動の推奨値について提示している点が従来とは異なる。
具体的には、「成人は歩行またはそれと同等以上(3メッツ以上)の強度の身体活動を1日60分以上」、「高齢者は歩行またはそれと同等以上(3メッツ以上)の強度の身体活動を1日40分以上」の目安で行うことが示された。
メッツは身体活動の強度を表す単位で、座って安静にしている状態が1メッツ、普通歩行が3メッツに相当する。このメッツに活動時間(時)を掛けて得られた数値を「メッツ・時」とし、ガイド案では成人で週23メッツ・時以上、高齢者で週15メッツ・時以上の身体活動をするよう推奨している。
改訂前と比較すると、成人に求める身体活動量は週23メッツ・時以上のまま変わらないが、高齢者はそれまでの週10メッツ・時以上から週15メッツ・時以上へと5割引き上げがなされた。
一方、成人、高齢者ともに週2~3回行うことを推奨している筋力トレーニングは、負荷をかけて筋力を向上させるための運動のことを指す。これには筋トレマシンやダンベルなどを使用するウエイトトレーニングだけでなく、自重で行う腕立て伏せやスクワットなどの運動も含まれるという。
具体的な運動のイメージについては、成人は息が弾み汗をかく程度以上(3メッツ以上)の運動を週60分以上、高齢者は有酸素運動・筋力トレーニング・バランス運動・柔軟運動など多要素な運動を週3日以上行うことを推奨している。
ガイド案によると、強度が3メッツ以上の身体活動を週15メッツ・時以上行う高齢者は、身体活動をほとんど行わない高齢者と比べて総死亡および心血管疾患死亡のリスクが約30%程度低下するという。
積極的に身体を動かすことにより元気に活動できる期間を指す健康寿命はもちろん、寿命そのものを延ばすことにもつながるというわけだ。…続きは本誌で