脳科学者による驚きのアプローチ「人はなぜ不倫をするのか?」
2024年01月28日
不倫発覚の当事者を叩きたくなるのはサルも人間も同じ
人はなぜ不倫をするのでしょうか? もちろんすべての人たちが不倫をするわけではありませんが、長年にわたって調査業に携わっている私でありましても、特にあれこれ考えたことはありませんでした。
単に「本能」の二文字で片付ける人もいらっしゃるかと思いますが、私は最近、脳科学者の中野信子氏が脳科学の見地から「不倫の謎」を解き明かしている著書に出合いました。タイトルはズバリ、「不倫」(文春新書)です。
調査業を通じて目の当たりにしていることですが、不倫が発覚した後の当事者たちの人生は茨の道となります。多額の慰謝料を支払うことになり憂き目を見る人もいれば、最悪のケースでは自ら命を絶つ人さえいるのです。まさしく命を懸けてまで、人はなぜ不倫に走るのでしょうか?
不倫をしたことがない人たちにとっても他人事ではありません。不倫が発覚した当事者を知らず知らずのうちに攻撃してはいないでしょうか?
最も象徴的なのは、美人女優を奥さんに持つ男性有名人の不倫が発覚したときの世間の人たちの反応です。いわゆる“文春砲”によって撃破され、袋叩きに遭った俳優やお笑いタレントの名前が頭に浮かぶに違いありません。彼らはリンチといってもいいくらい強烈に叩かれまくりました。
脳科学者の中野信子氏は著書「不倫」の中で、不倫が発覚した当事者を人類学的見地から「フリーライダー」と呼んでいます。日本語でいうと無賃乗車する人、つまり「タダ乗りする人」といったところでしょうか。日本語に訳すと非常に意味深長な言葉になります。
そして人間にはフリーライダーを見つけ出して、社会的制裁を加えたいという本質的な欲望があるのだといいます。共同体の中で汗をかかずに美味しいところだけを食っている輩は悪であり、群れの秩序を守るために「正義」の名のもとに制裁が加えられるのです。中野氏によれば、これはサル社会でも行われているのだとか。人間もサルと同じということになります。
一方、日本における不倫経験率は諸外国と比べても高いそうです。あるアンケートによると、妻以外の女性と親密
な関係にあると答えた男性の割合は40代で38%、50代で32%、60代で29%に上るといいます。
このうち肉体関係があると答えた男性の割合は40代で29%、50代で30%、60代で20%、70代で17%。
一方、女性は40代で15%、50代で16%、60代で15%、70代で5%の人たちが夫以外の男性と親密な関係にあると回答。
さらに肉体関係があると答えた女性の割合は40代で14%、50代で10%、60代で5%、70代で1%となっています。
それでは人間以外の動物はどうなのでしょうか? 人間の世界では日本も含めて一夫一婦制が一般的となっていますが、これに対して一夫一婦制を基本としている動物は非常に希少だということです。哺乳類では3~5%の動物が一夫一婦制で、このほかはハーレム型や乱婚、不倫など、さまざまだといいます。
アリクイ、オシドリ、同じく鳥のルリオーストラリアムシクイなどは子育てをしながら不倫をしているそうなのです。昔から仲の良い夫婦のことを「おしどり夫婦」といいますが、本物のオシドリが育てている雛の約8割は“不倫で授かった子”なのだといいます。
この事実を知って、私はオシドリに対する見方が180度変わってしまいました。…続きは本誌で