ネット上の名誉棄損で痛い目に遭う人急増中
2023年11月27日
インターネット上の掲示板やSNS(会員制交流サイト)で第三者を誹謗中傷して痛い目に遭っている人たちが増えている。当事者は軽い気持ちで書き込みをしているのかもしれないが、内容によっては逮捕されたり、損害賠償請求を突き付けられたりすることもあるので絶対にやめていただきたい。
「クズの自己中人間」と書き込んだ容疑者を逮捕
ある弁護士が話す。
「若い人たちは高齢者が振り込め詐欺に引っかかったニュースを見て“いったいどうして騙されるのだろうか?”と不思議がりますが、インターネット上に勝手な書き込みをする人たちも警戒心に欠けているという意味においては振り込め詐欺に騙されるお年寄りたちとまったく同じではないですか?
匿名であることをいいことにネット上に人様を誹謗中傷する内容を書き込むと、後で大変なことになるかもしれないという考えがまったくないのでしょうね」 (新潟市の弁護士)
振り込め詐欺に騙される高齢者は被害者なのに対して、インターネット上で第三者を誹謗中傷する輩は加害者だ。両者の間には決定的な違いがあるが、被害者ないし加害者になることによってその後の人生が暗転しかねない点は共通している。
今年6月上旬、小千谷市に住む会社員の男(44)がインターネット上に長岡市に住む20代の女性を誹謗中傷する投稿をしたとして県警に逮捕された。
警察の調べによると、男は2021年4月上旬から5月上旬までの間に計3回にわたって女性に関する虚偽の事実を投稿し、名誉を毀損したという。
警察は女性の勤務先から相談を受けたことから捜査に着手。男は警察に逮捕されると調べに対して「間違いありません」と容疑を認めたという。
また上越署は9月21日、名誉毀損の疑いで柏崎市に住むパート従業員の男(51)を逮捕した。
逮捕容疑は2022年5月と9月、インターネット上の掲示板にいずれも知人で50代の男性と女性の実名を書き込んだ上で、「クズの自己中人間」などと複数回にわたって誹謗中傷し、名誉を傷付けたとされる。
上越署によると、男は容疑を認めたという。
一方、これら2つの事件は前者が犯行におよんだ時期から起算して2年以上経ってから容疑者を逮捕。また後者も同じく犯行におよんだ時期から起算して1年以上経ってから容疑者を逮捕している。
この点について前出の弁護士が説明する。
「こうしたインターネット上の掲示板への不法な書き込みは警察の捜査の性格上、検挙するまでに非常に時間がかかります。なぜなら人様を誹謗中傷する書き込みは匿名によってなされることがほとんどですから、まず誰が書き込んだのかを特定しなければなりません。その作業や手続きによって相当な時間がかかるのです」 (同)
裏を返せば、書き込みをしてから1年も2年も経ってから逮捕される本人は、文字どおり青天のへきれきに違いない。…続きは本誌で