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2024年11月21日

官製談合 県より早い新潟市の指名停止

2023年11月27日

9月20日、県発注の工事で顧問が逮捕、起訴された新発田市の岩村組。その後、この顧問は10月11日に起訴された。同社に対する指名停止は、発注者である県が10月27日から6カ月間。ところが新潟市は逮捕の5日後、9月25日から6カ月間とした。その違いはなぜなのか?

 

9月20日、県新発田地域振興局が発注する工事の入札をめぐり、官製談合などの容疑で同振興局の部長、同市内に本社がある岩村組の顧問、前常務取締役が逮捕された。同市内で実施される農地工事の入札で、振興局の部長が岩村組の顧問に予定価格を教えた
という。

 

10月11日、やはり県新発田地域振興局が発注した胎内市内での工事をめぐる入札に関連し、先に逮捕された同振興局の部長、岩村組の顧問が再逮捕された。さらにこの入札に参加していた同市内の西奈美組、小野組、延本建設の役員らが新たに逮捕されている。この日、新発田市内の工事に関する入札で逮捕されていた振興局の部長、岩村組の顧問が起訴された。

 

入札に参加している業者が不正を働いて逮捕、起訴されたり、工事中に事故が発生するなどした場合、ペナルティーとして指名停止処分が下される。今回の事件に関連し、工事の発注者だった県、そして新潟市、市内業者が逮捕された新発田市や胎内市も、それぞれ指名停止に関する要綱、要領に基づき、岩村組を指名停止処分とした。

 

9月20日に顧問が逮捕され、10月11日に起訴された岩村組に対する処分について、県の報道発表は以下のようだった。

 

〈(前常務取締役が)令和5年9月20日に公契約関係競売等妨害の容疑で逮捕された後、罰金刑に処され、10月26日にその刑が確定したことから、下記のとおり指名停止を行いました〉

 

県はこの発表があった10月27日から6カ月の指名停止処分とした。同じように新発田市は10月17日から6カ月間、胎内市は同月30日から6カ月間と、それぞれ岩村組に対する処分を発表した。指名停止の期間は同じでも、開始時期は自治体によって異なっている。

 

県より1カ月以上も早く、岩村組を指名停止処分にしていたのが新潟市だ。同市では同社の顧問らが逮捕された5日後の9月25日、同日から6カ月の指名停止処分とすることを発表している。同市と県とで、なぜ処分の開始に1カ月以上もの違いが出るのか?

 

ある建設業界の関係者は、「意欲の差ではないか」と言う。まさかと思うが、県も新潟市も指名停止に関する要領は似たようなものだから、あり得るのかもしれない。県も新潟市も、入札参加業者の社員や役員が不正事件で逮捕されたことで、指名停止を行うことになっている。

 

ではなぜ新潟市は県より1カ月以上早く指名停止を実施したのか? もちろんその回答は「意欲の違い」ではない。「指名停止は担当でかけるのではなく、審査委員会の決定を経て行っております」(新潟市契約課)

 

こうした事務的な決定がどの時期で行われたかによって、同じ案件に対し各自治体が行う指名停止処分の発表時期が違ってくるらしい。分かったようで今一つ分からない話だ…。

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