村上市 いつまで続く、設備工事入札のガチンコ対決
2023年11月27日
村上市では電気や機械など、設備工事の入札で最低制限価格、調査基準価格ギリギリの攻防が続いている。こうした傾向は、いわばこの地の伝統らしく、宿命のライバル同士による下限スレスレの戦いが展開されている。
やや細かいが別表を見ていただきたい。今年度、村上市が発注した工事案件で電気設備、機械設備などの、いわゆる設備工事の入札で、最も落札金額が高かった入札の結果を示したもの。
今年度4月から11月20日までの間で、電気設備では21件の入札が行われた。最も落札金額が高かったのは、「村上市消防本部庁舎 高圧受変電設備及び非常用発動発電設備更新整備工事」(表上)で、落札したのは市内の吉村電工。落札金額は1億1千64万2千693円(税別)だった。
一方、機械設備など電気設備以外の設備工事は今年度10件(11月20日まで)。最も落札金額が高かったのは、「荒川中学校トイレ改修工事(大規模改修・機械設備)」で、落札したのは市内の協和管工だった。落札金額は3千892万5千200円(税別)。
建設資材関連会社のOBが言う。
「村上・岩船の設備会社というのは、地元の大手業者で電気と機械設備の両方をやっているところが複数あるんです。それが昔から競合しているものですから、市が発注する工事の入札でも、ガチンコの勝負が続いているんですね」
表の上段、電気工事の案件を見ていただきたい。表中に表示していないが、この入札で採用されたのが「調査基準価格」だった。この価格を下回った場合、「契約の内容に適合した工事が履行されないおそれがある」と、調査が行われる。
調査の結果、「この額でも大丈夫」となれば入札は成立し落札となる。調査の結果、「この額ではまともな工事が可能か、保証の限りではない」となれば失格となってしまう。「村上市消防本部庁舎」の入札では、低額の2者が失格となってしまった。
この入札での調査基準価格は1億3千45万1千円、落札の上限価格である予定価格は1億4千308万円だった。調査基準価格は千円単位、予定価格は万円単位だが、各者の応札額を見てみると、落札した吉村電工に至っては端数処理せず1円単位で応札している。1円単位での勝負を想定していたのかもしれない。この入札で、予定価格に対する落札率は約81%だった。
下段の機械設備は予定価格が4千231万円。最低制限価格が3千892万5千200円だった。落札金額は最低制限価格とまったくの同額。しかも同額が2者あったため、くじ引きで落札者が決定された。落札率は92%。
村上市の場合、電気や機械といった設備工事の入札は大半がこのような状況で、下限での攻防が続いている。