断トツの発注量 新発田地域振興局 農地工事の特異体質
2023年10月27日
新発田地域振興局が発注した農地関連工事の合計受注金額は、昨年度も今年度も県内トップだ。特に今年度は県内にある振興局でぶっちぎりの金額となっている。ほかの振興局と違い、同振興局では農村整備部の発注額が地域整備部を凌駕している。こうした事情が、明らかになった談合事件の背景にあったのではないか。
事件にならなかった約2億円の落札案件
新発田地域振興局が発注する工事の入札で、官製談合事件が明らかになったのは9月20日。この日の午後3時から、会見ではなく県警がメディアに事件の概要を解説するレク(説明会)が行われたという。
だがこの段階で一部のメディアは大まかな状況を把握していたらしい。地元では9月初め頃から、「建設業者が警察に呼ばれているらしい」という話が伝えられていた。県警のレクとほとんど同時に、一部の県内メディアが第一報を伝えた。
逮捕され、その後起訴されたのは新発田地域振興局の農村整備部長と、同市内の建設会社、岩村組の顧問。両者は共謀して同振興局が実施した指名競争入札で同社に工事を落札させたという。それが6月に行われた同市内、松浦地区の区画整理工事で、落札額は1億200万円だった。
事件が発覚する前、松浦地区の区画整理工事以外で、入札での「不正」がささやかれていた案件があった。それが新発田市内(旧紫雲寺町)、落堀川地区大井川排水路の工事だった。やはり岩村組が2億200万円で落札している。
この案件は事件になった松浦地区の区画整理工事とは違い、制限付き一般競争入札で行われた。新発田地域振興局の農村整備部が実施した入札は、10月初めの段階までで今年度は52件あった。このうち制限付き一般競争入札は2件のみで、50件は通常型の指名競争入札だ。
「大井川排水路」以外のもう1件は機械器具の設置工事で、一般的な土木工事はこの「大井川排水路」だけ。一部の業界筋によれば、「強引な手法で岩村組が受注した」と言われたが、事件にはならなかった。
次いで10月11日に明らかになった事件が、同じ新発田地域振興局の農村整備部でも胎内市内の取水工工事に関する発注案件だった。落札したのは同市内の業者で、先に逮捕された2人が再逮捕され、落札業者を含む同市内にある建設会社の役員、3人が新たに逮捕された。…続きは本誌で