年120万円も給付⁉ 知らなきゃ損する手厚い民間奨学金
2023年09月27日
授業料と生活費で年間200万円は必要という大学生活。ところが、新潟県民の平均年収は、国の各種給与調査によると400万円台、多く見積もって450万円と薄給だ。手取り換算だとせいぜい300万円台。これでは大学生などとても養えない。そこで頼りにしたいのが民間の給付型奨学金。調べると、1冊の本になりそうなくらい豊富で、給付額も実に手厚いことが分かった。
月5万円給付
本県出身で関東の国立大学理系学部に通う3年生のAさんは、親からの仕送りに頼らず、月5万円の貸与型奨学金と月平均6万円のアルバイト収入のみで生活している。
生活費の内訳は、家賃・水道光熱費4万5千円、食費2万5千円、その他3万円で、月10万円を超えないようにし、毎月1万円ずつ貯められるようやり繰りしているという。
Aさんはこの夏、ある民間の給付型奨学金に採用された。
「採用されたことで月額5万円が今年度いっぱい支給されることになりました。8月頭に採用通知が届くと、直後に3ヵ月分、18万円が振り込まれました。(日本学生支援機構の)月5万円の貸与奨学金はそのまま生活費に充て、給付奨学金計60万円は来年度の授業料(約54万円)に充てるか生活費の足しにするか、親と相談しています」
Aさんの家庭年収は500万円を少し下回るという。共働きなので決して多いとは言えない。
「妹が2人いて、上の妹が高3で来年、大学受験し、下の妹は高1です。家族構成や年収などから試算すると、来年度は日本学生支援機構の給付型奨学金の対象にもなるかもしれません」
仮にAさんが「日本学生支援機構の給付型奨学金」(以下、修学支援)に採用されると、授業料の3分の1相当(国公立大学の標準額なら17万8600円)が給付され、さらに生活費として月2万2300円が支給される(年間26万7600円)。この場合、貸与奨学金は1万4千円程度に減額されるものの、来年度も同じ民間の給付型奨学金に採用されると、就学支援と合わせ給付だけで月7万円超を受給することになる。「3年になってから実験や研究が増えたので、月6万円稼ごうとすると時間的にキツイ感じがしています。もし来年度、給付型奨学金で計7万円がもらえれば、アルバイトは3万円分の時間で済むので、実験や研究に打ち込みやすくなります。給付型奨学金は、私のような貧乏家庭には本当にありがたい制度です」 (Aさん)
奨学金を受給している大学生は3割近くいても、Aさんのように、給付型奨学金をもらっている大学生はそのうち1割程度でしかない(表1参照、「給付型のみ」と「貸与型・給付型とも」の合算)。1件当たりの採用枠が少ないこともあるが、知らない可能性も高い。いかんせん、官民だけで数百種類ある上に、100種類以上もの給付型奨学金を用意している大学もあるのだ。個別の大学を合わせると数千種類もの給付型奨学金がありそうである。知らないのも無理はない。
知らないからと言って、給付型奨学金をスルーするのは実にもったいない。Aさんの体験談もさらに参考にしながら、官民、主要大学の給付型奨学金を見ていきたい。…続きは本誌で