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2024年11月21日

伸長? 退潮? 本県“大学進学力”30年の変遷

2023年08月27日

前稿では、2022年度卒の県内高校・中等教育学校生の進路を詳しく見てきたが、恐らく関心が高いであろう「全県でどの大学に何人が進学した」というデータはあえて載せなかった。それは本稿で紹介する。ただ紹介したのでは面白くない。30年前まで遡り、10年毎の進学先と比較して本県の大学進学力の推移を考察する。それは、伸長したのか、それとも退潮したのか…。

 

現役=偶然、一浪=当然…

 

本誌は毎年5、6月号で本県の主な高校・中等教育学校の大学入試結果(合格者数、進学者数)を報じている。この手の調査報道は、サンデー毎日や休刊した週刊朝日が毎年行っている。

 

「これと同じようなもので新潟バージョンを作れないものか」

 

いまから十数年前に、当時の県教委幹部だった人物(故人)からそんなリクエストを受け、本誌が始めたわけだ。

 

本誌が調査しているのは、前述したように「主な高校・中等教育学校」であって、県内全ての学校が対象ではない。全てとなると県教委のデータを活用する他ない。そこで本誌は、県教委が毎年発行する「大学等進学状況調査」のデータを活用し、前稿のような進路調査やデータ分析を行い、本誌独自の調査とは別に分析を試み、報じているのである。

 

今春行われた2023年度入試は終わっているので、2022年度入試結果の分析を行うには時期が遅いことは承知している。ただし、言うまでもないが県の公表は本誌のスケジュールに合わせているわけではないので、タイムラグについてはご容赦いただきたい。

 

さて、いまから30年前の1992年度(平成4)の本県大学短大等進学率(以下、大学進学率)は何%だったかご存知だろうか。22・9%である。20年前の2002年度(平成14)は37・1%。10年前の2012年度(平成24)は46・4%。そして2022年度(令和4)は51・9%を記録した(2023年度=令和5=は速報値で53・8%)。本県の大学進学率は順調に上向いている…ように見える。

 

あえて「ように見える」としたのには意味がある。大学進学率は上昇した。では、中身はどうか。これが本稿の問いであり、その分析を試みるわけだ。

 

表1の「卒業生の進路内訳」をご覧いただきたい。

1992年度の高校卒業生数は3万5040人。大学等志願者数(大学等に願書を提出した人数)は1万2713人。その6割強(大学等進学達成率)の8018人が大学・短大に進学した。逆に言えば、受検した4割の現役生が、大学に進学できなかったわけだ。

 

これを2022年度の数字と比較する。大学等進学達成率は93%超。実際に願書を提出すれば9割以上が現役で大学に進学する時代になったのだ。

 

現代では死語になったであろう言葉がある。

「現役=偶然、一浪=当然、二浪=平然」

 

筆者は約35年前の受験生。当時、そんな風に言われていた言葉だ。現役で東大、京大といった難関大学に現役合格した同級生はいたものの当人ですら「偶然」と目を丸くしていた時代だった。「現役合格などまず無理」と考えていた者が多かったし、スベリ止め全滅にもかかわらず難関私大に現役合格した同級生は「奇跡」と小躍りしていた。新潟市内に2つあった大手予備校には、二浪どころか三浪以上の“多浪生”も少なからずいたのだ。

 

9割超が現役進学する現代では、「現役=当然、一浪=憮然、二浪=騒然」といったところだろうか。…続きは本誌で

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