『子宮頸がん予防ワクチンについて』
2023年07月27日
渡辺内科医院
渡邉 順 院長
■医師データ
渡邉順。獨協医科大学医学部卒。新潟大学医歯学総合病院、県立吉田病院、佐渡総合病院、長岡赤十字病院などを経て開業。
子宮頸がんワクチンはかつて、その安全性を巡って一大論争に発展したことがある。現在は本邦を含め、『有用』というのが世界基準だ。そこで今回は子宮頸がんワクチンについて取り上げる。解説は渡辺内科医院の渡邉順院長にお願いした。
「本邦の女性のがんですが、多い順に乳がん、大腸がん、肺がん、胃がん、子宮がんと続きます。子宮がんには子宮体がんと子宮頸がんがありますが、とくに子宮頸がんは20歳代~30歳代に多く、その原因はヒトパピローマウイルス(以下・HPV)の感染です。HPVの感染は主に性的接触によって起こり、女性の多くが一生に一度は感染すると言われます。
HPVワクチンは2006年に開発された人類史上初のがん予防ワクチンで、WHOも接種を強く勧奨し、世界140ヵ国で使用、約80ヵ国で定期接種となっています。日本でも2013年4月に定期接種となりましたが、疼痛または運動障害を中心とする多様な症状(以下・多様な症状)が少数ながら認められ(接種者338万人中186人:0・005%)、メディアに大きく取り上げられことで、わずか2ヵ月で積極的な接種推奨が差し控えられる結果となってしまいました。その後の調査では、多様な症状がワクチン接種との因果関係があるという証明はされておらず、また多様な症状は同年代のワクチン接種歴のない方においても一定数存在することが明らかになっています。…続きは本誌で