『甲状腺ホルモンの異常(後編)』
2023年05月27日
たけうち内科クリニック
竹内 亮 氏
■医師データ
竹内亮。佐賀大学医学部卒。新潟大学医歯学総合病院、新潟医療センター、新潟市民病院などを経て開業。日本糖尿病学会認定糖尿病専門医、日本内科学会認定内科医他。
本誌の先月号で甲状腺ホルモンが減る病気の橋本病を取り上げたが、今月号では逆に甲状腺ホルモンが増える病気を取り上げる。解説は先月に引き続き、たけうち内科クリニックの竹内亮院長にお願いした。
「甲状腺ホルモンは、心臓や肝臓、腎臓、脳など全身の臓器に作用して代謝を盛んにするなど、言わば体中のエンジンを回すホルモンです。その甲状腺ホルモンが増える病気の代表が、バセドウ病です。甲状腺の表面にはTSH受容体という調整センサーがあって、普段はエンジンが過剰に回らないよう調整されています。しかしバセドウ病では、このTSH受容体を無秩序に刺激する抗体が生じる結果、甲状腺ホルモンが過剰に産生・
分泌され、様々な症状が引き起こされます。
代表的な症状として、動悸、体重減少、手の震え、暑がり、汗かき等が挙げられます。その他、食欲亢進、易疲労感、軟便・下痢、筋力低下、イライラ感や落ち着きのなさが生じることもあります。女性では生理が止まることがあります。甲状腺は全体的に大きく腫れ、眼球突出など眼の症状が出ることもあります。その他、炭水化物の多い食事をした後や運動の後などに手足が突然動かなくなる発作が起こることがあり(周期性四肢麻痺)、これは特に男性によくみられます。
診断は問診、触診、血液検査、エコー(超音波)によって行い、治療法は大きく分けて3つあります。…続きは本誌で