住宅メーカーを解雇された元女性従業員の恐るべき逆襲
2023年05月27日
仕事ぶりや行動に何かしら問題のある従業員はいるものだ。雇用する側にとっては頭の痛い問題だが、だからといって不用意に解雇などしようものなら思わぬ逆襲に遭ってもおかしくない。県内のある住宅メーカーが新潟地裁に提訴された一件は象徴的な出来事といえる。
禁止されている喫煙や挨拶の不徹底で解雇された?
関係筋が話す。
「あの住宅メーカーが従業員に提訴されたのですか? それは知りませんでした。かつてテレビCMを頻繁に流していたことから、かなりの知名度があったと思いますが、最近はあまり社名を聞かなくなりましたね」 (住宅業界関係者)
本稿において匿名で取り上げる住宅メーカーは長岡市に本社を置く。新潟地裁に提出された訴状や答弁書など裁判記録によると、 原告の元女性従業員はこの住宅メーカーの新潟支店(新潟市)に勤務していた。
原告が訴状を提出したのは2019年11月29日付で、事件名は〈雇用関係存在確認等請求事件〉。端的にいえば、原告の元女性従業員が解雇を不当だとして訴えた裁判だ。
訴状によると、原告の女性は2017年1月16日に正社員として雇用された。しかし会社側は同年3月20日付で解雇。
これを不服とする原告は裁判所に調停を申し立て、18年11 月6日の調停成立により、いったんは新潟支店に職場復帰したという。
前述のとおり訴状が提出されたのは19年11月29日付で、その時点で会社側と原告の間には雇用関係があったとみられる。つまり原告は会社に勤務しながら、過去の解雇を不服として裁判で争っていたことになる。
記者の取材経験を踏まえていうと、元従業員が不当解雇を主張して会社側を提訴するのはすでに会社に籍がなくなっているケースばかりで、前述の女性従業員のように職場復帰したにもかかわらず過去の解雇が不服だとして会社側と争うケースは極めて稀だ。
ある経営者が話す。
「原告にしてみれば、自分が提訴した会社の社長と毎日顔を合わせなければならないわけですからね。相当な覚悟がなければ在籍中に会社を訴えることなんてできませんよ」(会社社長)
裏を返せば、原告の女性は会社側に対して腹に据えかねるものがあったのかもしれない。
では会社側は何を理由に原告の女性を解雇したのか?
裁判記録によると、被告の会社側は概ね以下の3点を解雇理由としているようだ。
・女性従業員が会社の敷地内で禁止されている喫煙をした
・同僚が挨拶をしたにもかかわらず、女性従業員が挨拶を返さなかった
・出社時に行ったアルコール検査の結果が基準値を超過していた
前出の経営者が感想を述べる。
「率直に申し上げるなら、いずれもただちに解雇しなければならない理由には当たらない気がするのですが…」 (同)…続きは本誌で