こんな裁判は税金の無駄遣い!
2023年04月27日
多くの一般市民にとって裁判所は関わりの薄い場所だ。それだけに大多数の人たちは裁判所に対して、映画やテレビドラマで描かれているような厳格なイメージを抱いているに違いないが、現実には「何だコレは?」と首を傾げたくなるような裁判も少なからずある。新潟地裁で実際にあったトンデモ裁判をリポートする。
地裁、高裁、最高裁の裁判官計6人に損害賠償請求
一般市民の間では裁判所に対してかなりの誤解があるようだ。代表的なのが、裁判官が法廷で木製ハンマーをトントンと打ち鳴らして「静粛に」と呼び掛けるあの行為。
米国の映画などで見られるシーンだが、実際のところ日本でもかつてはテレビの2時間ドラマで同じようなシーンが見られた。
しかし現実には、日本の裁判官は木製ハンマーによるトントンをいっさい行っていない。そもそも日本の法廷には、米国映画で見るような木製ハンマーは用意されていないのだ。
このように現実に行われている裁判は、映画やテレビドラマの法廷シーンで見られるそれとは大きく異なっている。映画やテレビドラマのように「裁判長、異議あり!」といって勢いよく立ち上がる弁護士や検察官はおらず、静かな口調で単に「異議あり」と申し立てる者ばかりだ。
さて、本題となるが、現実に法廷で行われている裁判の中には、「いったい何だコレは?」と首を傾げたくなるようなものもある。
たとえば2022年に新潟地裁で提起されたある民事裁判は、以下のとおり事件名からして普通ではない。
〈裁判官による名誉毀損・信用毀損損害賠償請求事件〉
文字どおり、原告が裁判官を名誉毀損と信用毀損で訴えた裁判だ。しかも被告となっている裁判官は計6人もいる。新潟地裁第一民事部の裁判官が3人、東京高裁第19民事部の裁判官が1人、東京高裁第20民事部の裁判官が1人、さらに最高裁判所の戸倉三郎長官の計6人だ。
これら6人の裁判官を提訴した原告は魚沼市に住む82歳の男性で、2021年6月の選挙で落選するまで地元の市議を務めていたという。
そして原告は新潟地裁と東京高裁の裁判官ら5人に対して計550万円、最高裁の戸倉長官に対して110万円の総額660万円の損害賠償金を請求。
原告はこの民事訴訟を新潟市の弁護士に委任し、A4版の計41頁にも上る分厚い訴状を提出した。参考までに弁護士も原告と同様に年齢は80代だ。
訴状の内容は極めて多岐にわたるため要約するのは困難だが、端的にいえば原告は自分が提起した民事訴訟の判決が不服であることから、審理を担当した地裁、高裁、最高裁の裁判官をまとめて名誉棄損と信用毀損で提訴したということらしい。
魚沼市の関係者が話す。
「原告となっている元市議は市に対して住民監査請求を連発することで有名な人です。請求が棄却されたのが不服で、市を相手取って行政訴訟を起こしたことも何度もありますが、いずれも敗訴しています」(地元関係者)…続きは本誌で