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2024年11月22日

がん患者とその家族に寄り添う「がん体験者の悩みQ&A」

2023年04月27日

一生のうちに2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで死亡するといわれている。がんは誰もが罹患する可能性のある病気だ。しかし実際に自分や家族ががんになったとき、冷静でいられる人は極めて稀だろう。こうしたことから、がん患者やその家族の不安や悩みを少しでも軽くしようと県立静岡がんセンターが「がん体験者の悩みQ&A」と題する専用サイトを開設、患者やその家族にとって大きな心の支えとなっている。新潟県民の皆さんにもご紹介したい。

 

静岡がんセンターのWeb版がんよろず相談Q&A

 

県立静岡がんセンターでは、2003年と2013年に実施した全国調査結果を独自に整理することによって構築したがん体験者の悩みデータベースを公開している。

 

またこのデータベースに基づき、がん体験者の悩みや負担を和らげるための助言、日常生活上の工夫などについての情報ツールを作成。それが本稿で紹介する「がん体験者の悩みQ&A(Web版がんよろず相談Q&A)」だ。

 

同Q&Aは悩みに関するキーワード検索ができるのをはじめ、2回の全国調査に参加した延べ1万2000人のがん体験者の悩みをまとめたデータベースを基に、患者やその家族に対する助言を作成して公開。

 

また時期別の代表的な悩みとそれに対する助言、閲覧回数の多い悩みなどを分類して公開しているほか、閲覧者が必要としている情報や助言を後で読み返すことができるように助言集を作成する機能も備わっている。

 

それでは悩みに関するキーワード検索ができる「よろずの窓」を利用して、実際に検索をしてみよう。まずはシンプルに「がん」の2文字で検索したところ、30項目もの患者の声が表示された。

 

その中でも〈がんという病名への恐怖と、時に死への恐怖があった〉という患者の声がとりわけ目を引く。患者の年齢は40~80代と幅広い。

 

これに対して病院側は〈がんと診断されることは誰にとっても衝撃的な出来事〉と題して、以下のような助言を記している。〈がんと診断されることは、衝撃的な出来事です。特に、余命を告げられるということは、死を意識し、その衝撃はとても大きいと思います。今回の悩みの調査のなかにも何人も書かれていた「その瞬間頭が真っ白になってしまって、その後先生が何を話したのか全然覚えていない、どうやって自宅に帰ったのかもわからない。」、「呆然として何が何だかわからない。」などの言葉が、その衝撃の大きさをあらわしていると思います。

 

混乱のなかで、気持ちが落ち込んだ状態が続き、部屋に引きこもってしまったり、誰とも話したくなくなることもあります。ご家族や親しい人々の何とか支えたいという思いからかけた言葉も、時には白々しく感じ、誰にも自分のつらさはわからないのに、簡単なことを言うな!と怒りの気持ちがわくこともあります。同時に、どうなるのかわからない未来への漠然とした不安が次々と頭をめぐります。

 

こういうときは、こころがとても過敏になっていますから、周囲の何気ない言葉や振る舞い、視線などに対して、悪い方へと考えがちで、自分だけが孤立してしまったような感覚にもなります。

 

こころの動揺や不安定さは、がんを告げられたとき、余命を告げられたとき、誰にでもあることです。ご家族や周囲の方々も、患者さんのこのようなこころの状態を理解することが大切です。〉(がん体験者の悩みQ&Aより)…続きは本誌で

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