「燕西蒲県議選」 トップ当選 元鷲尾チルドレン・柴山唯の盲点
2023年04月27日
当選5回の現職、自民党県連の桜井甚一幹事長がよもやの落選となった燕市西蒲原郡(燕西蒲)選挙区。トップで初当選を飾ったのが元燕市議で「無所属 、39歳、2児の母」の柴山唯だった。鷲尾英一郎衆院議員の元秘書で、選挙や政策に通じているはずの柴山にも、思わぬ盲点があったらしい(敬称略)。
今回の県議選で「衝撃の大番狂わせ」は、何といっても燕西蒲選挙区(定数2)だ。当選5回の現職で、自民党県連の桜井甚一幹事長が落選した。県連の代表は会長だが、幹事長はナンバー2ながら実質的なトップとも言える存在だ。
その桜井、そして昨年5月の補選で当選した堀勝重を押さえ、トップで初当選を果たしたのが柴山唯(無所属、連合新潟推薦)だ。堀と同じく元燕市議で、堀が当選した昨年の補選にも出馬したが落選していた。
今回の県議選は補選に比べ投票率が5%余りダウンした。だが柴山は前回の得票を1千100票ほど上回る約1万3千票を獲得。前回は「働くママ!38歳、2児のママ」、今回は「無所属39歳」、「走ります!39歳 2児の母!」などと訴えて議席をゲットした。
柴山唯はかつて鷲尾英一郎衆院議員の秘書だった。鷲尾が自民党に入党する前のことだ。18(平成30)年10月、初めて出馬した燕市議選で約4千200票を獲得。2位とは1千400票ほどの差で、初当選を圧倒的なトップで飾った。当時、鷲尾の支援を受けて当選した市議らは、「鷲尾チルドレン」と呼ばれた。
市議に初当選した翌年に長女を、続いてその翌年、21(令和3)年12月に次女を出産した。そして任期途中の昨年3月で市議を辞職。柴山が出馬した昨年の県議補選は、次女の出産から半年後のことだった。
今回、柴山は「無所属」を前面に打ち出し選挙戦を展開した。ある労働組合の関係者はこう言っていた。
「柴山さんは連合新潟の推薦候補で、燕西蒲は次の衆院選から連合と協力関係にある菊田真紀子さんの選挙区になる。無所属の強調と同時に、もう少し菊田さんとの〝協調〟があってもいいのでは」
燕市の議会関係者は、市議時代の柴山についてこう言う。
「市議会には会派の部屋と別に議員の控室がありますが、柴山さんが控室でほかの議員と談笑する姿を見たことがなかった。一般質問で教育に関するヨーロッパの事例を出したりして、確かに先進事例の紹介はいいんだけどね…。具体的で突っ込んだ議論をする委員会での発言は少なかったと思う」
県議選の告示前に配布された柴山の政策パンフレットにこんな部分があった。
〈令和6年にオープン予定の全天候型児童遊戯施設に関する要望書を作成するため、当時、市議会議員として県内児童遊戯施設へ視察に行きました。子供を持つ親としてどんな施設にしたいか、燕市の魅力としてどんな施設であってほしいか、大いに議論しました〉
前出の議会関係者はこう言う。
「大いに議論したというけど、誰と議論したのか…。要望書を作成するためとありますが、要望書は提出されてはいなかったはずです」
柴山は今回の県議選で吹いた「無所属候補への追い風」に乗ったのかもしれない。