『甲状腺ホルモンの異常(前編)』
2023年04月27日
たけうち内科クリニック
竹内 亮 氏
■医師データ
竹内亮。佐賀大学医学部卒。新潟大学医歯学総合病院、新潟医療センター、新潟市民病院などを経て開業。日本糖尿病学会認定糖尿病専門医、日本内科学会認定内科医他。
ホルモンは私たちの体内で産生され、体の機能の調整を行っている。ホルモンにはいろいろな種類があるが、甲状腺で産生される甲状腺ホルモンもその一つ。その甲状腺の異常で産生されるホルモンが減ったり、逆に増えることで様々な症状が起こるのが甲状腺ホルモン異常だ。今回は甲状腺ホルモンの異常でホルモンが減る病気と、逆に増える病気を今月号と来月号の2回にわたって取り上げる。解説はたけうち内科クリニックの竹内亮院長にお願いした。
「甲状腺は首の真ん中、のど仏のすぐ下にある大きさ4~5㎝の臓器です。ここで甲状腺ホルモンが産生され血流に乗って全身に行き渡ります。心臓や肝臓、腎臓、脳など全身の臓器に作用して代謝を盛んにするなど、大切な作用をもっています。この甲状腺ホルモンが低下する病気の代表が橋本病です。
橋本病は免疫機能の異常により自身の甲状腺を攻撃してしまうことが原因です。その結果、産生されるホルモン量が減り、甲状腺機能低下症に至ります。こうした免疫異常が生じる明確なメカニズムは解明されていませんが、遺伝が関わっている説もあり、ストレス、妊娠・出産、ヨードの過剰摂取などをきっかけとして発症する場合もあります。…続きは本誌で