100%価格上昇をうたって値下がりを続ける「ゆうちょ銀行」の保険商品
2023年03月27日
かつてはその信頼性の高さから多くの人たちが信じて疑わなかった“郵便局神話”―。しかしその信頼性もかんぽ生命の不適切販売問題の発覚により地に堕ち、神話はものの見事に崩壊した。日本郵政グループによるこうした強引な販売手法はかんぽ生命だけではなく、ゆうちょ銀行でも行われていたとの指摘がある。
約4年で1000万円が1100万円に増えると説明
新潟市在住の男性A氏(75)が話す。
「あれは今から約7年前、ゆうちょ銀行で買った1000万円の国債が満期を迎えたときことでした。ゆうちょ銀行の職員2人が自宅を訪ねてきましてね。いきなりの訪問だったので最初はお引き取り願ったのですが、それ以降も2度、3度と訪ねてくるものですから、“話だけでも聞いてみるか”と思って応じたのです」 (A氏)
すると、ゆうちょ銀行の職員2人はA氏の国債が満期を迎えたことから、新たな金融商品の購入を勧めてきたという。
A氏が続ける。
「職員が私に差し出したパンフレットの表紙には〈届くしあわせ〉と商品名が書いてあり、その下に〈目標設定特則付変額個人年金保険〉と記されていました」 (同)
「届くしあわせ」は三井住友海上プライマリー生命が、ゆうちょ銀行の窓口専用商品としてつくった保険商品だ。発売されたのは2015年7月で、職員がA氏の自宅を立て続けに訪問したのはその直後のことだった。
A氏が当時を振り返る。
「職員からは、“Aさんがお持ちの国債が満期になりましたが、株式や投資信託ではない元本保証の良い商品があります。たとえば1000万円購入すると10年以内に目標額の1100万円を達成して、自動的に運用資産が確保される仕組みで、なおかつ元本保証だから安心です”との説明を受けました。
パンフレットの中身を見ると、職員が説明するとおり目標値110%の達成率が100%と記されていて、しかも平均達成年数が4・1年と記載されていることから、私は“1000万円が約4年後に1100万円になって、差し引き100万円の利益が得られるんだな”と額面どおり受け止め、1000万円の契約書にサインをして商品を購入したのです」 (同)
ところが約7年が経った現在、A氏の1000万円の契約はいまだに目標金額の1100万円を達成していないどころか、260万円近くも元本割れしている。
A氏が毎月送られてくる運用実績シートを示しながら話す。「2022年12月末時点の積立金額は775万円です。仮に中途解約すると解約控除額の32万円が引かれますから、手元には743万円しか戻ってきません。つまり現時点で257万円も損をしているというわけです」 (同)
ユニットプライスと呼ばれる毎月の積立金額の推移を見ても、「過去7年間、上昇したことは一度もない」(A氏)。
A氏が端的にいう。
「これでは詐欺ではありませんか」 (A氏)…続きは本誌で