滝沢亮・三条市長提案の教育長人事否決はクーデターだった⁉
2022年12月27日
三条市にとっては前代未聞の事態だった。おそらく県内の自治体でもすべからく同様ではあるまいか。三条市議会は滝沢亮市長が提案した教育長の人事案件を否決してしまった。蛮勇と言うべきか、クーデターというべきか。あるべきはずのないまさかの事態が現実になった。
好対照の2人
三条市議会の12月定例会は12月5日から始まった。その初日、冒頭のことだ。議員らはともかく、市民が、大げさに言えば県民が予想もしなかった事態が発生した。始まりから終わりまでは20分もない、事態の重大さにかかわらず、議場に参集した議員らから歓声も怒声も発せられず、事態は粛々と進んだ。
本会議場でも一段高い席から阿部銀次郎議長がこう告げた。
「日程第4、議第1号、教育長の任命についてを議題といたします。提案理由の説明をお願いいたします。市長」
議長の指名によって滝沢亮市長が演壇に立ち、提案理由を説明した。
「皆さまおはようございます。只今ご上程をいただきました議第1号、教育委員会教育長の任命につきまして提案理由の説明を申し上げます。本市教育委員会教育長の長谷川正二さんが令和4年11月30日付で辞職したので、その後任として樋熊敏文さんを任命いたしたいので、議会ご同意を求めるものでございます。
なお樋熊敏文さんの略歴を参考として添付してございますので、よろしくご審議の上ご同意をたまわりますようお願いいたしまして、提案理由の説明といたします」
樋熊氏は上越教育大大学院卒で小学校の校長を歴任、退職後、三条市教委の嘱託指導主事などを経て令和3年に同市の教育委員に任命された。今回の教育長人事に際し、令和4年11月で教育委員を退任していた。一方、「令和4年11月30日付で教育長を辞職した」という長谷川正二氏は、国定勇人前市長時代の平成24(2012)年に選任された。長谷川氏は三条市役所で総務部長などを歴任した人物で、いったん市役所を退職後、市内の社会福祉法人に就職したが、退職して教育長に就任したという。
樋熊氏は一貫して教育畑を歩み、長谷川氏は行政畑の出身と、好対照の存在と言える。…続きは本誌で