市長選直後の談合情報で新発田市建設業界の疑心暗鬼
2022年11月28日
6月に続き、新発田市が発注する工事に関する談合情報が流れた。市役所に通報があったのは、何と無投票で終わった市長選の翌日。「落札業者が決まっている」という工事の入札が受け付けを終える予定だった11月14日だった。意味深な談合情報に、同市内では様々な情報が飛び交った。
談合情報は、忘れた頃にやって来る
11月13日、新発田は市長選の告示日を迎えた。3期目の任期満了となる二階堂薫市長は、その日の朝、恒例となっている新発田総鎮守、諏訪神社で出陣式を行った後、選挙カーで市内を巡った。
結局、立候補の届け出は二階堂市長のみ。同市長は自身の選挙において初の無投票当選で4選を決めた。新発田で無投票の市長選は片山吉忠前市長の時代以来20年ぶりだという。
外野からは「新発田は平和だ」と思われたその矢先、11月14日、市長選の翌日だった。同日の午後1時51分頃、市役所にFAXで市の発注工事に関する談合情報が届いたという。こうした通報に関する取り扱いだが、たいていの自治体には談合情報があった場合の対処法に関する規定がある。
ただ単に「談合してます」だけで役所は動かない。例えば新潟市の場合、匿名の談合情報であっても、談合の対象となった工事と、その工事の落札予定者、あるいは談合に関係した業者名、談合の場所、落札予定金額などのうち、いずれかが特定されていれば、入札執行前に調査が行われる。
新発田市長選の翌日に通報があった談合情報だが、通報の翌日、11月15日に開札を迎える予定だった電気設備工事に関するものだった。工事名は「創石補第2号 農集排石いし喜き 処理場電気設備更新工事」。工事場所は新発田市西姫田地内で、電気工事の登録業者でAランクを対象としたもの。
電子入札システムで行われる制限付き一般競争入札で、入札参加には「新発田市内に本店、または営業所がある者」という地域要件があった。入札の公告があったのは10月27日。その翌日から11月14日の午後4時までが入札参加の受付期間だった。
談合情報では落札予定者が名指しされていたとされる。通報があった翌日で、開札予定日だった11月15日、市は〈入札の談合情報が寄せられ、公正な入札ができなくなるおそれがあると判断し、当該入札を中止します〉と発表した。通報があったのは市長選の翌日、しかも入札の受付期間最終日。何やら狙いすましたような通報と思わざるを得ない。
前回、市に談合情報が寄せられたのは今年6月のこと。新発田消防署豊浦出張所の改築工事に関するものだった。通報は今回のようにFAXではなく電話だったという。この改築工事は建築、電気設備、機械設備の3件を含むもので、6月に予定された入札は8月に延期となり、電気設備では2者が最低制限価格と同額のフダを入れ、くじ引きで落札業者が決まった。電気設備工事の落札金額は1千837万円。…続きは本誌で