詳報2022年大学入試 合格者数総覧 東大大苦戦!
2022年04月27日
2022年度大学入試は、共通テストの大幅難化で始まった。2年目を迎えた同テストの平均点が大幅に低下したことに加え、終息の兆しを見せないコロナ禍により、各校とも受験戦略に狂いが生じたようだ。その大学入試、本県の結果はどうだったか。今年もまた完全独自調査でリポートする。今月は主に合格者数を見ていく。
東大は大苦戦
難関国公立大学も減
難関私立大学と医学部医学科は大幅増!
現役合格者数
東大5人 新潟3人、高田2人
京大10人 新潟4人、高田2人、新潟南・新発田・長岡・津南中等各1人
医学部医学科90人!
合格者数は、難関国公立大が減り私大が大幅増
2年目の共通テストは難化する…。
教育関係者は共通してそう予想していた。残念ながらと言うべきか、その予想は当たった。特に数学、理科で平均点が大幅に低下。本番中、問題の難しさに天を仰いだり、頭を抱えたり、あるいは問題用紙を被ったりするといった受験生の絶望ぶりがSNS上で話題となった。
受験生は通常、普段から行われる模擬試験の得点と合否判定をもとに、ある程度、志願する大学を定めている。模試の得点率は概ね8割、志望する大学はB判定とすれば、本番でも8割は取れると踏んで臨む。ところが本番で7割しか取れず、志望する大学の判定がD判定だったとすれば、受験生は不安に陥り、弱気になるものである。
合否判定は概ねA~Eの5段階判定。D判定は下から2番目。合格可能性は一般的に、A=80%以上、B=65%前後、C=50%前後、D=35%前後、E=25%以下とされる。いつもB判定だったのにD判定となれば弱気になっても仕方あるまい。そういう受験生がどうやら今回は増えたようだ。
一方で、多くの学校、そして進路指導担当教員は、「D判定なら強気で行け」と言っているはずだ。実際、これまでの取材でもそう指導しているという現場が多かった。なぜか。
「E判定のボリュームは、全体の約6割を占めるから」(私立高校進路指導教員)
つまり、D判定以上はその大学の志願者中、上位4割の中にいるということ。左の写真をご覧いただきたい。これは大手予備校の河合塾が作成した、今回の共通テストの大学・学部・学科別の学力分布表だ。模試の合否判定と同じと考えていい。「今年」欄の数字「1」「3」「4」…「352」「357」は志願予定者の延べ人数だ。その左に「濃」「ボ」「注」とある。それぞれ合格濃厚、ボーダーライン、要注意。「ボ」をC判定、「ボ」と「注」の間をD判定、「注」をE判定とすれば、E判定以下が半数以上いることが分かる。昨年の実績(「昨年度合否実態」欄)を見ても、“D”以上から10人近い合格者が出ていることが読み取れる。進路指導教諭は、こうしたデータを毎年見ているからこそ、「D判定なら2次試験で十分に逆転可能だから強気で臨め」、言い換えれば「最後まで諦めるな」、「自分を信じろ」とアドバイスをするわけだ。
そうは言っても受験生(それ以上に保護者)はどうしても判定結果が気になってしまう。「2ランク下げた国公立大を受験した」という生徒もいれば、「国公立大を諦め私大にシフトした」という受験生もいた。
本誌の今回の調査によれば、本県も共通テスト難化の影響を受けたと思われる結果となった。
例年、2桁はいる東大の現役合格者数は1桁に。既卒を含めても11人は、1950年以降では2番目の少なさだった。大学のカテゴリー別に見ると、「旧帝大・一工神」の現役合格者は154人で、過去5年で2番目に少なかった。「首都圏等難関国公立大学」は224人で、これまた過去5年で2番目の少なさ。新潟大学を含む「地方国公立大学」は1423人で、過去5年で最多を記録した(大学のカテゴリーは表5を参照)。
私立大学では、「早慶上理」の現役合格者数が234人で昨年比約30人増。「GMARCH」は818人が、「日東駒専」には1429人が合格し、いずれも過去5年で最多。「県内私立大学」には3379人が合格し、昨年より約300人増え、過去5年でも最多だった(大学のカテゴリーは表6を参照)。
主に難関と目される国公立大学の合格者が減り、中堅どころの地方国公立大学の合格者が増え、難関を含め私立大学の合格者は軒並み増えた。これが今回の入試の、本県の大きな特徴と言えよう。詳細な検証はこれからだが、共通テストの結果を踏まえ、難関・準難関国立大学の受験を諦め、中堅国立大学、あるいは私立大学にシフトした受験生が増えたのではないだろうか。
ただ、難関国立大学の多くは、共通テストより2次試験の配点を高くしている。学力の裏付けがあれば、逆転を期して志望を貫徹するはず。貫徹できなかった受験生が多かったと言えるかもしれない。…続きは本誌で