知事選で対抗馬を擁立できない野党第一党の存在意義
2022年04月27日
5月の知事選で野党第一党の立憲民主党は「自主投票」だという。その理由は、党の支持団体である連合が花角英世知事を支援するからだとか。連合と同じ意見なら、ともに花角知事を支援すればいいし、現在の県政が県民のためにならないと考えるなら、独自候補を擁立すればいい。県民にとって同党の対応はなかなか理解し難い。
知事選は5月12日告示、同月29日投開票の日程で争われる。再選を目指す花角英世知事を自公や国民民主、そして連合が支援する。一方、原発再稼働を許さないとする住宅メーカーの役員、片桐奈保美氏を共産、社民が推薦している。
今さら申し上げるまでもないが、知事選で野党第一党である立憲民主党の名前が出てこない。2月に同党は知事選での独自候補擁立を断念。3月17日に立候補を表明した片桐氏は同党に推薦を要請した。
片桐氏は立憲民主の国会議員らと共同歩調で原発問題に対応してきた。独自候補を擁立することができない同党にとって、「片桐推薦」は渡りに舟かと思うとそうではない。3月21日、立憲民主党の県連は5月の知事選で「自主投票」、即ち特定の候補者を支援することはしないと決めた。
自主投票とする理由については、「立憲民主党の支持団体である労働組合の中央組織、連合が花角知事を支援することを決めているから」と伝えられている。皮肉なことに、ちょうどこの日、新潟市内のホテルでは経済界の関係者や、国会議員、市町村長や地方議員といった政界関係者などが集まり、花角知事の国政報告会が開催されていた。
4月17日、片桐氏は事務所開きを行ったが、西村智奈美、菊田真紀子らの衆院議員、打越さく良、改選を迎える森裕子らの参院議員など、「自主投票」を決めた立憲民主党の国会議員らも姿を見せた。嫌味な言い方になるが、彼らが本気で片桐支援に回るのか、それともアリバイ的に出席しただけなのかは分からない。
知事選への立憲民主党の対応について、古参の同党関係者が憤りを込めて語った。この人物は未だ立憲民主という党名がお気に召さない。「民主党でいい。立憲なんて言葉は難し過ぎる。党名はシンプルであるべきだ」という。
「国会議員に限らず、立憲民主党の議員は選挙で労働組合に頼りきっている。独自の組織を作ってこなかったからこんなことになるんです。連合の顔色ばかりうかがっている。まるで組合のご機嫌取りだ。こうした場面を見ていると、誰のために議員になっているかがよく分かります。国民、県民のためではない。自分のためですよ」(古参の立憲民主党関係者)
この人物は議員を長く務めた経歴も持っている。
「立憲民主の議員で、定期的に街頭に立って一般の市民に訴えている者は何人いるのでしょうか。選挙の時はやっているかもしれませんがね。そうした地道な活動を、有権者はちゃんと見ているんです。
県民の生活に直結した知事選で独自の候補を立てられない野党第一党など、存在意義なしだ。連合と意見が同じなら同じようにやればいいし、違うなら独自候補を擁立するかすればいい。ただそれだけだ」(同)
知事選で立憲民主党が選択した「自主投票」は、単にお茶を濁した対応でしかなかったようだ。