新潟交通への経営支援「2億5千万円」への不満
2022年03月27日
2月下旬、地元紙が「新潟市が緊急的な措置として新潟交通に対し2億5千万円の経営支援を行う方針である」と伝えた。その反響は大きかった。中原八一市長を支える市議会与党の議員でさえ、怒りの表情をあらわにした。実際、市議会2月定例会では、この件について与党議員から厳しい質問が市長や執行部に浴びせられた。
地元紙が「新潟市が新潟交通に対し2億5千万円の経営支援を行う方針である」と伝えたのは2月下旬のこと。新型コロナウイルスで経営が悪化している同社に対する緊急的な措置だという。
その直後、新潟市の市議がこう言った。市長を支える立場の会派に所属する議員だ。
「新潟交通への支援金が話題になっています。(新潟交通は)BRTで久しぶりに利益が出れば配当し、コロナで赤字になれば減便すると脅して支援金をもらう。
市はせっかく貯めた基金から2億5千万円支援するそうです。つい先日、白山浦庁舎の売却益を基金に積み増したばかりなのに、その大半を新潟交通の赤字を補填するために使うのでしょうか。それで減便はどのくらい回避されるのですか? いつまでバスを走らせてくれるのでしょう。コロナが長引いて赤字が続いたら、また減便を盾に支援金を要求するのでしょうか」
中央区の市役所本館近くにある白山裏庁舎は、かつては国交省の建物だった。今年2月3日、予定価格1億9千411万円で入札が行われ、ダイア建設新潟が約4億5千841万円で落札した。売却益は約2億6千430万円だ。
新潟市議会の2月定例会でも、中原八一市長を支持する与党会派、翔政会の平松洋一市議(北区)がこの件を一般質問で取り上げた。
「前市政で声高に言っていた、BRT構想を中心とする持続可能な公共交通はいったいどこに行ったのか? バス交通に頼る市民は、いつも新潟交通と新潟市役所に振り回されている。
ここにきて売り上げが落ちたので、令和2年から減便決行。さらに来月(4月)から5億円の赤字なので、減便プラス新潟市から2億5千万円を支援してほしいとの要求が発表された。正直、市民は怒っている」
公明党の小山進市議(中央区)もこの一件を会派の代表質問で取り上げている。同市議に対する中原八一市長の答弁は以下のよう(一部要約)。
「オミクロン株の影響で新潟交通の路線バス利用者数は大きく減少し、運賃収入は1月22日からの1週間でコロナ禍前の66・6%に急落(中略)。経営状況はさらに厳しさを増している。この傾向が続けば、今春のダイヤ改正で全市的に影響が及ぶ大幅な減便をせざるを得ないことから、新潟交通から緊急的な支援の要請があった。
本市としては、これまでの支援と異なる緊急的な支援が必要との認識の下、その予算案を提案させてほしい。緊急支援を通して事業を引き続き継続し、バスのネットワークを維持することで市民の移動手段であるバス交通の維持につなげていただきたい」
コロナ禍で売り上げが落ち込んでいる業種はバスのみではない。身銭を切る割に、やけに淡々とした答弁だった。