中川・上越市長を吹っ飛ばす”宮越砲”の破壊力
2022年03月27日
両者の蜜月は半年と続かなかった。上越市の中川幹太市長と宮越馨市議との関係だ。中川氏が2度目のチャレンジで初当選したのは昨年10月。かつて上越市長を務めた宮越市議も、市長選への出馬を模索していた。だが一転、中川氏と政策協定を結び同氏を支援。中川氏の当確が決まり、ともに万歳を三唱した二人だが、今や蜜月どころか戦時に突入している。
平時から戦時へ
任期満了に伴う上越市長選が行われたのは昨年10月31日のこと。衆院選、市議補選とのトリプル選挙だった。前副市長との一騎打ちを制して初当選したのが、元市議の中川幹太市長だ。同市長は5年前の市長選に出馬したが惜敗。再チャレンジで雪辱を果たした。46歳での就任は同市の市長として最年少記録だという。
当選が確定したのは投開票日の午後11時30分頃。支持者の前で万歳する中川市長の左隣が同市長夫人、そして右隣で同市長とともに万歳していたのは宮越馨市議だった。同市議は平成5(1993)年から上越市長を2期務めた。旧大蔵省の出身で、同省では主計局で約20年間にわたり国家予算の編成や査定などに携わったという。
市長に就任する前、宮越氏は中選挙区時代の旧4区から3度衆院選に出馬。だがいずれも当選はかなわなかった。3選を目指した市長選で落選した後、県議に当選し知事選にも出馬した。同氏の政治経歴はまだ続くが、ひとまずここまでとする。市議選でトップ当選して市政の場に帰ってきたのが2年前。
その宮越市議だが、5年前に続き昨年の市長選にも意欲を示していた。同市議がブチ上げていた主な政策が「子供年金」と「地域経営会社(コミュニティーカンパニー)」。前者は「第3子以降、何人でも高校卒業まで月5万円支給」というもの。宮越市議が市長時代に誘致した火力発電所からの税収分で賄えるとし、人口減少をストップさせる切り札とされた。
昨年の市長選前、「子供年金第3子から高卒まで」、「子育てするなら上越市 子供年金」と書かれたのぼり旗が市内のあちこちに登場。まさしく宮越市議による市長選に向けてのデモンストレーションだった。同市議は「みやこしかおる緊急政策」と題する自身の「市政報告」に「5つの緊急重要政策」を掲載。これらは市長選に向けての実質的な公約だった。
市長選に意欲満々の宮越市議だったが、昨年10月8日、一転して「出馬断念、中川幹太元市議(当時)と政策協定を交わし、同氏を支援する」と発表。政策協定では、前出の同市議による「緊急政策」について〈双方が合意した〉とされている。
かくして宮越市議はフル稼働で中川氏を支援。その結果、同氏は初当選。同市議と並び支持者の前で万歳を三唱したというわけだ。だが両者の蜜月は長く続かなかった。平時は次第に戦時の様相を呈してきた。…続きは本誌