死者6人 三幸製菓工場火災の大きすぎる代償
2022年02月28日
あってはならないことが起こってしまった。2月11日、村上市にある三幸製菓荒川工場で火災が発生。6人もの命が失われた。米菓の国内シェアで圧倒的トップの本県。主力メーカーでは最後発が三幸製菓だった。それが亀田製菓に次ぐ業界ナンバー2に躍進。三幸製菓は「安全性の確認が取れるまで荒川工場を含めた全工場の3カ月生産停止」を発表した。同社にとって、そして本県の米菓業界にとっても大きな痛手と言わざるを得ない。
金メダルが一転、工場火災
2月13日、地元紙の朝刊1面が大きく伝えたのは、前々日の11日午後11時50分頃に発生した三幸製菓荒川工場(村上市)の火災だった。前日(12日)、同じ地元紙の1面では、同市出身の平野歩夢が北京五輪で「悲願の金」を獲得したと、大きな見出しが躍ったばかり。三幸製菓のヒット商品、「雪の宿」、「チーズアーモンド」などは国内で広く知られるだけに、火災のニュースは全国に伝えられた。
2月11日の深夜に発生した火災は、およそ半日間燃え続け建物を全焼させた。被害は施設だけにとどまらなかった。痛ましいことに犠牲者が出てしまった。清掃担当だったという60~70代の女性アルバイト従業員4人と、製造担当の20代男性社員1人の死亡が確認された。身元不明の1人の遺体も見つかり、20代男性社員とみて確認が進められた(2月18日段階)。
新潟県の米菓出荷額は約2千億円(平成28年)、国内シェアは50%超と、断トツの1位だ。県内には売上高(平成29年)で業界トップの亀田製菓(新潟市江南区、737億円)を筆頭に、2位の三幸製菓(新潟市北区、500億円)、3位の岩塚製菓(長岡市、216億円)など、米菓メーカーがきら星のごとく存在する。
これら上位3社に続くのが栗山米菓(5位、新潟市北区)、越後製菓(10位、長岡市)、阿部幸製菓(13位、小千谷市)、ブルボン(14位、柏崎市)など。
業界ナンバー2の三幸製菓(佐藤元保代表取締役CEO)は昭和37(1962)年の創業で、並み居る米菓メーカーの中では最も後発だ。そこから半世紀余で業界2位に躍進した。それをけん引したのが実質的な創業者である佐藤富一郎名誉会長だった。3年前、富一郎氏は第一線を退き、現在の名誉職に就いた。
三幸製菓の工場は、古い順から新潟市北区の新崎工場、次
いで荒川工場、そして新発田工場の3拠点。荒川第一工場が操業を開始したのは1982(昭和57)年のこと。主力はその5年前にリリースされ、爆発的なヒット商品となった「雪の宿」だったという。…続きは本誌