突如来県した岸田首相、やっぱり出た「岸田ノート」
2021年11月27日
衆院選の投開票が行われた3日前、岸田文雄首相が来県。JR新潟駅南口広場で街頭演説を行った。この日、同首相はお約束とも言える「岸田ノート」を胸ポケットから出して披露。その首相の演説中、「発言ミスでは…?」と思わせた場面が3回あった。
岸田文雄首相が来県したのは自民党の総裁選からほぼ1カ月後で、衆院選の投開票が3日後に迫った10月28日。素朴な疑問だが、こうした大物が登場することで、本当に候補者の支持率は上がるのだろうか。
「高鳥修一を支援するため、安倍晋三前首相が6区に入りました。その後に行われた世論調査の結果を見ると、微妙に高鳥さんの支持率が上がっていました」 (メディア関係者)
それが「安倍効果」かは断定できない。高鳥は選挙区で負けたものの、比例で復活当選を果たした。その惜敗率は99・8%、当選した立憲民主の梅谷守との差はわずか130票。「安倍効果」があったと見るか否かは微妙なところだ。
「岸田首相ですが、当初は苦戦が伝えられる高鳥支援のため6区に入ると聞いていました」(同)
10月28日、岸田首相の街頭演説が開催されたのは6区ではなく、JR新潟駅の南口広場。最初に1区の候補者、塚田一郎の選対本部長、渡辺惇夫県議、自民党新潟支部の幹事長、皆川英二市議、来年の参院選に出馬を予定する小林一大県議らが挨拶した。
次いで3区の斎藤洋明、1区の塚田一郎が街宣車の上から聴衆に向かって支持を訴えた。この日は花角英世知事もマイクを持って塚田らへの支援を呼びかけた。そして最後に登壇したのが岸田文雄首相(自民党総裁)。街頭演説で同首相は県内で衆院選に出馬している候補者の名を次々と紹介した。「1区、塚田一郎さん、2区、細田健一さん、3区、斎藤洋明さん、4区、国定勇人さん。そして比例で出馬している鷲尾英一郎さん」
岸田首相の街頭演説はおよそ20分。その間に3回、前述のように各候補者の名や、それぞれの経歴などを紹介する場面があった。これに違和感を覚えた聴衆もいた。
岸田首相が1区から4区、そして比例の鷲尾を紹介しているものの、同首相と並んで街宣車の上に立っている候補者は塚田1人だけ。斎藤は途中で選挙区に戻っていた。「何で岸田首相は5区の泉田裕彦、6区の高鳥修一を紹介しないのか。発言ミスでは…?」と、小声で話す聴衆も。
この街頭演説会だが、実は1区から4区、そして比例の候補者を支援するために開催されたものだった。だが、例えば4区の国定は「選挙区での活動を優先させたため、この演説会には行かなかった」(4区の自民党関係者)という。
岸田首相見たさで集まった聴衆も多く、必ずしも演説会の趣旨が全体に伝わっていたわけではない。そのため「岸田首相の発言ミス」と受け止めた人も多かったらしい。
それでも首相はお約束の「岸田ノート」を披露。「私は政策づくりに際し、しっかりと多くの皆さんの声を聞かせていただき、政治を進める」と強調していた。