可搬式オービスの取り締まり現場をスクープ撮
2021年10月27日
新潟市内の通学路や生活道路などで、持ち運びができる速度違反自動取り締まり装置(可搬式オービス)の試験運用が始まった。この可搬式オービスによる速度違反自動取り締まりの現場に本誌記者が遭遇、その実態を検証する機会に恵まれた。違反キップを切られたくない読者のために詳細をご報告する。
自民党が半沢直樹ばりに“やられたらやり返す!”
可搬式オービスは実のところ本県を除く46都道府県で導入済みであり、全国的には当たり前に運用されている速度違反自動取り締まりのための装置だ。
では、なぜ全国で唯一、本県だけが未導入なのか?
その理由を説明するためには、昨年の県議会2月定例会において、2020年度当初予算案が戦後初めて修正可決された一件について振り返らなければならない。県議会最大会派の自民党が当初予算案に対する修正案を提出、これに一部の無所属議員が賛同し「賛成多数」により可決したのだ。
知事与党であるはずの自民が県の当初予算に“ダメ出し”をした背景には、同党と県警との確執があるというのが有力な見方だ。
ある経済人が呆れ顔で話す。「自民は県議会最大会派だなんていわれていますが、結局のところは田舎議員の寄せ集めで議会の過半数を占めているだけの話なんですよ。だって彼らは新たに地元に信号機を設置するのが議員にとっての最大の“勲章”だっていうんでしょ?
県警による信号機設置は一昨年の49機から昨年は15機へと3分の1に減ったそうですが、自民県議にしてみれば“勲章”の枠が減っちゃったんです。だから彼らは県警に対して腹を立てて、意趣返しに打って出たというのですから話になりませんね」(会社社長)
高視聴率を獲得したテレビドラマ「半沢直樹」の主人公・半沢は、「やられたらやり返す」が信条だったが、自民県議もこれに触発されたのか? 本当にやり返してしまったのだ。
具体的には、2020年度当初予算をめぐって、自民は交通安全に関する予算の一部を削る修正案を提出。修正案で削られたのは可搬式オービス(速度違反自動取り締まり装置)を導入するための予算で、金額は1100万円。
関係筋が話す。
「その時点で県内には可搬式オービスの導入実績がなく、しかも県警にとってはこれが昨年度唯一の新規事業だったのです。自民はそれを潰してしまったのですから、これは新設信号機を減らされたことに対する明らかな意趣返しです。
花角英世知事は20年度当初予算の柱のひとつとして“安全で安心なまちづくり”を掲げており、可搬式オービス導入はそれに則した事業だったのです。それを知事与党の自民がボツにしてしまったのですから、大人げないったらありゃしない」 (議会関係者)
自民はまさに「江戸の仇を長崎で討つ」を地で行った格好だが、当の自民県議はそんな本音などおくびにも出さず、「この財政下でこういう施策を入れるのは絶対に間違いだ」(2020年3月6日の県議会建設公安委員会での小野峯生幹事長の発言)とひっ迫する財政事情を理由に導入に猛反発したのだった。…続きは本誌