『気をつけたい 目の症状〜後編〜』
2021年09月27日
西新潟なかむら眼科
中村 裕介 院長
■医師データ
中村裕介。新潟大学医学部卒。新潟大学医学部眼科教室入局。新潟大学医歯学総合病院眼科、県立新発田病院眼科、県立中央病院眼科、済生会新潟病院眼科などを経て開業。
先月号では『充血』と『急激な視力低下』に隠されている可能性のある病気について、西新潟なかむら眼科の中村裕介院長に解説していただいた。今月号も引き続き、気になる目の症状について。「今月号でも気をつけていただきたい目の症状についてお話しします。
まずは『眼の疲れ』です。スマートフォンなどが普及した現代においては目を酷使する機会が多くなっており、目の疲れを感じている人は多いと思います。さらにコロナ禍によるパソコンでの在宅勤務、WEB会議など目を使う時間はますます増えています。目の疲れには目の休養が一番ですが、他にも原因が隠れていることがあり、治療により疲れが軽減、改善することがあります。
1つ目の原因は涙の量、質が低下して目が乾燥するドライアイです。人工涙液、涙液の分泌を促す点眼で加療します。
2つ目は度数が合っていない眼鏡不適合です。運転用の眼鏡をパソコン作業に用いるなど誤った使用により目が悲鳴をあげている可能性があります。対策として作業距離に合わせた眼鏡を処方します。
3つ目は目の調節力低下によって近方視力が低下する老眼です。進行した老眼は手元の小さな文字が見えないため症状に気づきやすいですが、なりはじめの時は、見えるけど疲れるという眼精疲労が出てくることが多いです。老眼鏡の処方により対応します。
次に『変視症(歪んで見える)』です。
線が曲がって見える症状を変視症と言います。変視症は光を感じる組織である網膜の中心にある黄斑部の異常により生じます。代表的な病気としては加齢黄斑変性症、黄斑円孔、黄斑前膜、中心性漿液性脈絡網膜症などです。加齢黄斑変性症は網膜の下に脈絡膜新生血管という悪い血管が発生し、出血、浮腫を生じて変視、視力低下をきたす病気です。新生血管を抑える薬剤を硝子体内に注射し治療します。…続きは本誌